「力道山が刺された直後に私に放った言葉は…」 現場となった「ニューラテンクォーター」元社長が真相を語る
力道山の強さを示す豪快伝説
生島 へぇ、そんな裏話があったのですか。でも力道山は本当に強かったんでしょう。
山本 それについては、印象的なエピソードがあります。まだ福岡にいた頃、力道山と博多のバーでお酒を飲んだことがあるんです。その時、博多で一番けんかが強いといわれた後藤という男が、「力道山がどのくらい強いか勝負に来た」と店に現れたんですよ。
生島 腕試しだ。
山本 周りは止めたのですが、力道山は「わかった、勝負しよう」と受けて立った。「てめえ、この野郎」と後藤がぶつかっていったんですが、力道山はそれをかわして、あっという間に後藤を床にひっくり返した。そして後藤の胸に足を乗せ「オレがいま足に力を入れたら、肺が潰れておまえは死ぬぞ」と言ったんですね。後藤は尻尾を巻いて退散しましたが、興奮収まらない力道山は、その後も「ウォー」とほえて、店の柱を掴んで揺すった。そうしたら店がグラグラ揺れたんですよ。従業員たちが「きゃー、お店が壊れる」って(笑)。
生島 力道山の豪快伝説ですね。その死は驚きをもって伝えられました。そしてその後、ニューラテンクォーターは「力道山が刺された店」という形容詞がついた。
山本 力道山の事件は、戦後最大のヒーローの死であると同時に、私にとっても大きな試練であり、ターニングポイントでした。でも、その試練を乗り越えることで私の腹は据わり、仕事を続けていく自信が芽生えた。皮肉にもリキさんの死が私を強くしたのです。
(一部敬称略)
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