現役ドラフト、巨人「オコエ獲得」は本当にプラスか? 中日は“待望の大砲候補”を獲得成功
有望な補強をしたのは?
一方、他球団はどうか。チームの補強ポイントから考えると、納得できるのが、阪神から陽川尚将を獲得した西武だ。陽川は、これまでプロ9年間で157安打、23本塁打にとどまっているが、貴重な右の強打者タイプであり、大山悠輔や佐藤輝明の台頭がなければ、もっと数字を残していた可能性も高い。
西武は、中村剛也が大ベテランとなり、主砲の山川穂高も来年国内FA権を取得する見込みであることを考えると、その穴を埋める存在は必要不可欠だ。思い切りの良いスイングで、陽川のプレースタイルは、西武のチームカラーにマッチしているとも言えるだろう。
もう1球団、有効な補強という印象を受けるのが、DeNAから細川成也を獲得した中日だ。細川はプロ6年間で41安打、6本塁打と目立った成績を残すことはできていない。だが、2020年にはイースタンリーグでホームラン王に輝くなど5度の二桁本塁打を放っており、長打力には定評がある。来年で25歳と、年齢的にもまだ若いというのもプラス材料だ。
今年のドラフトで指名した野手は、リードオフマンタイプが揃っていただけに、チームにとっては“待望の大砲候補”と言える。新外国人のアキーノや同年代のブライト健太、鵜飼航丞など、外野手にライバルは多いが、チーム事情を考えれば、抜擢の可能性は十分にありそうだ。
「現役ドラフト」の狙いにマッチ
一方の投手で面白い補強になりそうなのが、大竹耕太郎(前ソフトバンク)を獲得した阪神だ。大竹は過去2年間一軍未勝利に終わっているものの、プロ入り2年目の2019年には17試合、106回を投げて5勝をマークした実績を持つ。また、二軍では、常に安定した成績を残しており、制球力と投球術は大きな武器である。
阪神の投手陣は強力だが、左の先発は伊藤将司だけで、順調にいけば、大竹がローテーション争いに加わってくる可能性が高い。野手で余剰戦力となっていた陽川を放出して、大竹を獲得できたというのも、「現役ドラフト」の狙いにマッチしているとも言える。また、早稲田大の先輩である岡田彰布監督が就任したことも大竹にとっては“追い風”になりそうだ。
今回の「現役ドラフト」を全体的に見ると、本当の意味で、実績のある選手の名前はなかったが、環境が変われば、一軍の戦力になりそうな選手は少なくない印象を受けた。2巡目は実施されなかったものの、希望していた球団はあったということを考えると、ここから、さらにトレードをしかける球団が出てくることも十分に考えられる。キャンプイン、開幕までに追加補強を狙う球団はどこなのか。今後の動向にも引き続き注目したい。