岸信夫氏の世襲を阻む「もう一つの名門」 安倍家VS林家の決着もつかず山口県は大混乱

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 12月11日、岸信夫前防衛大臣(63)は地元・山口県岩国市の後援会の会合で、次の衆院選には出馬せず引退すると表明した。同時に長男の信千世氏(31)を後継指名したが、この動きをよしとしない「名門一家」がある。山口県周南市で、3代にわたって地盤を継いできた山口1区の現職・高村正大衆議院議員(52)である。いま山口県の政界では、安倍晋三元首相の死後、安倍家と林家が晋三氏の地盤だった下関市をめぐって対立するなど、戦国時代さながらの“縄張り争い”が起きている。

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“壁耳取材”で丸聞こえだった

 車椅子で議員活動を続ける岸氏の病は、筋力が低下する進行性の遺伝性疾患である筋ジストロフィーではないかと言われ、引退は規定路線とされてきた。

「すでに1年以上前から、信夫氏の秘書を務める信千世氏が地元で積極的に挨拶回りをしており、後継者になると見られていた。今回、それを信夫氏が初めて公の場で明言したのです。会場で岸氏は『このあたりで信千世に譲りたい』と発言。同席していたの信千世氏も『地域のためにが頑張りたい』と挨拶した。ただし、その場では公表にはまだ早いとして、『ここだけの話にしておいてください』と参加者への口止めもあった」(地元記者)

 だが、会場の外では動きを察知したのか数社の記者が駆けつけており、“壁耳取材”をしていた。

「丸聞こえだったので、記者たちは会場から出てきた岸氏を取り囲んで発言内容を確認。認めたため一斉に報じたのです。その日は“特オチ”した社が帰京する岸氏を岩国空港まで追いかけ回すなど大混乱となりました」(同)

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