浮気疑惑が引き金で、妻は秘密のパーティーに参加すると言い出し…おかげで夫婦の会話は増えたが
2022年は「乱交パーティー」にまつわる事件が相次いだ。
6月に静岡県で開かれた120人規模のパーティーが摘発されたのを皮切りに、7月には同様の催しで女子高生にわいせつ行為をした教諭が逮捕され、8月には医師が逮捕・僧侶ら7人が書類送検された。11月も民泊を利用してパーティーを主催した男女5人が逮捕されてもいる。
いったい何が参加者たちを駆り立てるのだろうか。男女問題を30年近く取材し、『不倫の恋で苦しむ男たち』などの著作があるライターの亀山早苗氏が、そのヒントとなりそうな男性を取材した。
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【写真7点】SNS上には「パーティー参加者募集」のツイートが散見。「行為」の卑猥な画像や動画をのせる、女性に誘わせるなどして、愛好家を誘惑している
結婚生活も長くなれば、夫婦の関係は変わっていく。新婚時代、子どもができてから、さらにふたりが外で出会う人々からの影響を受け、個人としても夫婦の関わり方としても変化があって当然だろう。いい方向に変わるのか、どちらかが不満や不安を感じる方向にいくのか、その見通しが利かないこともある。
鶴川誠治さん(46歳・仮名=以下同)は、2歳年下の妻の最近の変化に戸惑い続けている。慣れ親しんだ妻とは違う側面が、今になって現れているからだ。そしてそれについていけない自分を感じているという。
彼は「ごくごく普通の昭和末期の産まれ」だと苦笑しながら言った。亭主関白ではなく、妻とは対等で友だちのような関係を築いてきたつもりだった。
「妻の清香とは、27歳のころ友人との飲み会で知り合いました。落ち着いた雰囲気の彼女に惹かれてつきあい始め、2年たったところで結婚。ごく普通でしょ?」
2児をもうけたが、清香さんは仕事を続けた。どうしても手が足りず、ひとり暮らしだった誠治さんの母が家を売り、近くのマンションに越してきて助けてくれた。同居しなかったのは母親の英断だと誠治さんは考えている。清香さんも母もさっぱりした性格なので、特にいざこざはなかった。
「母は今もひとりで暮らしながら、僕らの子どものめんどうをみたりスポーツジムに通ったりと楽しそうです。我が家のことにはいっさい口を挟んでこないので助かっています」
現在、長男は15歳、長女は13歳になった。最近までは家庭としても夫婦としても、些細な諍いや行き違いはあってもごく平凡に平穏に暮らしてきたはずだった。
誠治さんの「浮気」
事情が変わったのは4年前だった。誠治さんが「浮気」をした。とはいえ肉体関係はない。
「実は僕には中学時代に憧れていた同級生がいたんです。中学卒業以来、一度も会っていなかったのになぜか仕事関係で再会したんですよ。ふたりともビックリして……。それからときどき食事をしたりお酒を飲んだりしました。彼女も結婚していますから、それ以上の関係にはならなかった。いや、一度だけ酔ってキスしたことはあります。でもお互いの理性がそれ以上の関係になるのを止めた。そうするのが当然だと思いながらも、せつなくてたまらなかった。本当はもっと深い関係になりたかったから。彼女も同じ思いだったはず」
それなのに妻にバレてしまった。バレた理由は誠治さんの寝言だった。ある日、寝言で彼は「ルリちゃん」と憧れの彼女の名前を呼んでしまったのだ。キスで踏みとどまったものの、感情があふれ出てしまったのだろうか。
「突然、妻に『ルリって誰?』と聞かれたんです。心の準備がなかったから、かなりあわてふためいてしまった。妻から見たら怪しいですよね。そこで昔の同級生で、たまたまばったり会って一度、食事をしただけだと言い訳しました。妻は冷たい目で僕を見ていましたが、『嘘ついてるでしょ。全然焦点が合ってない』と一刀両断。でもそれ以上は言えませんから、とにかくただの友だちで、きみが心配するような関係ではないと言い続けました」
だが妻の疑惑はおさまらなかった。誠治さんが浮気したと決めつけていた。そこまで疑われるなら、いっそルリさんと関係をもってしまったほうがよかったと彼が思うほどだった。
「そもそも妻がそれほど嫉妬深いとは思っていなかった。家族は大事だけど、ふたりとも外で仕事をしているわけだし、つまらない詮索はしないでおこうという暗黙の了解があったはずなんです。でも妻はやけに『ルリちゃん』にこだわっていました。裏切られた、あなたは裏切り者だとやたらと攻撃されて、僕自身も疲弊していきました」
このままだと夫婦の関係が危うくなるかもしれない。誠治さんはそんなふうに追いつめられていった。
「僕は無実だけど、きみが傷ついたのなら謝る。どうしたらきみの気持ちがおさまるのか教えてほしい。ずっと諍いを続けていくのは嫌だと言いました。すると妻は、少し考えさせてほしい、と」
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