私の家に電気が来たのは3時間だけ。日本のカイロはありがたい…キーウ在住「ボグダンさん」が語るウクライナの現在

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カイロがありがたい

ボグダン:住宅によって異なります。ウクライナの集合住宅はセントラルヒーティングで、建物内を循環するパイプに火力発電所や原発でできたお湯を通して、建物全体を温めるのが一般的です。古い低層階の集合住宅は、この方式が多いですね。しかし、新しい住宅は30階以上のタワマンが多く、しかもオール電化が多い。また、一戸建ては断熱性が高いレンガ造りだったりするので、たとえ電気が止まってもすぐには冷えませんが、それでも徐々に冷たくなってきます。

――ボグダンさんは自身のYouTubeで「支援を必要とする人が増えてきている」と語っている。ウクライナの人が今、本当に必要なものは何か。

ボグダン:具体的に言うと、ランタンなどの照明器具、カセット式コンロ、厚めの下着、靴下や帽子、フリース、カイロなど。それと、お湯だけ注げばできるようなカップラーメンやスープといったインスタント食品ですね。日本からは送ることはできないのですが、モバイルバッテリーもありがたいですね。日本からも多くの方が送ってくださり、本当に助かっています。

――カイロというのは「ホッカイロ」などの使い捨てのもの?

ボグダン:そうです。日本の発明品ですよね。ウクライナでは登山用品やサバイバル用品を扱う店で売っていたそうですが、一般の人はこれまで知りませんでした。カップラーメンも日本の発明ですよね。日本人には当たり前でも、ウクライナ人にはそうではないものがたくさんあります。

――ロシアによる侵攻が始まる前、昨年の12月はどのように過ごしていたのだろう。

ウクライナの年末年始

ボグダン:12月は1年を締めくくる行事が多いですね。日本では学校や会社は4月スタートですが、ウクライナの場合は1月1日なんです。ですから12月はコーポレーション・パーティー、忘年会をどこの企業も開催します。また、これまでクリスマスは1月6日から7日にかけて行う旧ソ連(ロシア正教)のスタイルだったんですが、最近は12月24日から25日に行う欧米式に切り替わろうとしています。日本のクリスマスはカップルで過ごしたりすることが多いですけど、欧米で暮らしたことのあるウクライナ人はレストランで食事をしたり、家族で過ごしたりすることが多いですね。また、それとは別に、12月19日はサンタクロースのモデルとなった聖ニコライの日で、子供にプレゼントをする日になっています。

――大晦日は?

ボグダン:朝までパーティーですよ。だいたい夜の6時とか7時に仮眠を取って、8時くらいからみんなでテーブルを囲んで、この1年に何があったとか、お酒を飲みながら語り合うんです。そして11時40分頃にテレビで大統領のスピーチがあって、12時から花火が打ち上がるんです。それから新年のお祝いです。まあ、早く寝る人でも3時、4時までは起きていて、普通は朝日を見てから寝るという人が多いですね。

――その後、1月6日に再びクリスマスがやってくるわけだ。

ボグダン:そうです。ですから12月半ばから1月までは、みんな非常に忙しく、にぎやかなんです。街中にはツリーが立てられ、メリーゴーランドが設置されたり、サンタクロースの家が建てられたり、商店も出ます。フィンランドやドイツのような感じですね。

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