まだ続いている「怪盗ロワイヤル」 サービス開始から13年、長寿の秘訣は「常連客」にアリ

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今もBGMはつけず

 ゲームに大事なキャラクターデザインに関しても、当初からイラストレーターのワカマツカオリさんを一貫して起用し続けている。

「『怪盗ロワイヤル』の世界観はワカマツさんのイラストの印象が強い。そこを変えてしまっては別のゲームになってしまうので、残すべきだと思っています」

 スマホゲーム全盛の今でも、BGMをつけていないのもその一環だ。

「今のゲームはボイスであったり、アニメーションをつけることが当たり前になっているとは思うんです。ただ、今の流行りのゲームの要素をそのまま入れることをユーザーさんが求めてるかっていうと、そこはまたちょっと違う。 僕らは『怪盗ロワイヤル』を遊んでくださってる方が、どこに面白さを感じているかわかっているので、13年間続いている」

 浅間さんの話を聞いて、以前取材した老舗のラーメン店を思い出した。店主は「常連客にいつもと変わらず美味しいと思ってもらうためには同じ味を出し続けるのではダメで、時代に合わせ気づかれないよう少しずつ味を変えている」と話してくれた。細部の改良は行うが、同じ楽しさを常に提供しようという『怪盗ロワイヤル』と共通する考えだ。

 最近ではお笑い芸人のネタの中で『怪盗ロワイヤル』というワードが使われたり、フリップ芸にワカマツさん風のイラストが使われることもあるという。それが笑いとして成り立つのも、多くの人に『怪盗ロワイヤル』のイメージが定着しているからだ。

 変化ばかりが良しとされる時代に、あえて変化しないことを貫く。派手さや新しさはないが、安心する美味しさで、『怪盗ロワイヤル』は常連客を魅了し続けている。

徳重龍徳(とくしげ・たつのり)
ライター。グラビア評論家。大学卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。記者として年間100日以上グラビアアイドルを取材。2016年にウェブメディアに移籍し、著名人のインタビューを担当した。現在は退社し雑誌、ウェブで記事を執筆。個人ブログ「OUTCAST」も運営中。Twitter:@tatsunoritoku

デイリー新潮編集部

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