五輪金ボクサー・入江聖奈の引退は構造的な問題？ 「女子ボクサーは食えない」
二兎を追う者は一兎をも得ず――というが、いっぺんに二兎を追うからいけないのであって、まず一兎を捕って、それからもう一兎を追えばよい。
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東京五輪で本邦初の女子ボクシング金メダリストになった入江聖奈（22）が引退した。最後の試合を11月に行われた全日本選手権に定めると、連覇を果たして有終の美を飾った。
まだ大学4年生。1年半後にはパリ五輪が開催されるわけで、傍目には早過ぎる引退に思えるのだが、
「賢明な判断ですね」
とスポーツライターがうなずく。理由は二つある。
「東京五輪はメダル候補でしたが、金は出来過ぎ。環境面など地の利があったし、トーナメントの組み合わせ運にも恵まれました」
「女子ボクサーは食えない」
11月にヨルダンで開催されたアジア選手権では、決勝でカザフスタンの選手に敗れ銀メダルに終わった。つまり“絶対女王”というわけではなかった。
もう一つの理由は、入江自身の資質でなく、競技そのものに問題がある。
「女子ボクサーって食えないんですよ。男子は、例えば村田諒太のように五輪メダリストからプロ転向して、更なる夢に突き進む道がある。でも女子は、海外でも数えるほどしか食えてません」
女子レスリングは、吉田沙保里や伊調馨らの活躍により注目され、それなりにメシが食える競技にも成長したというが、
「入江が競技のあり方を根本から変えるのは難しかったかもしれない」
今後は、
「東京農工大大学院に進み、以前から好きだったカエルの研究に勤しむのだとか」
