恥をさらけ出す「西村賢太さん」私小説のすごみ 「芥川賞」受賞を後押しした大物作家【2022年墓碑銘】
満ちては引く潮のように、新型コロナウイルスが流行の波を繰り返した2022年。今年も数多くの著名な役者、経営者、アーティストたちがこの世を去った。「週刊新潮」の長寿連載「墓碑銘」では、旅立った方々が歩んだ人生の歓喜の瞬間はもちろん、困難に見舞われた時期まで余すことなく描いてきた。その波乱に満ちた人生を改めて振り返ることで、故人をしのびたい。
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2011年1月、芥川賞の発表は大きな話題となった。『きことわ』を著した慶應義塾大学大学院に在学中の才媛、朝吹真理子さんと、『苦役列車』の西村賢太さんが受賞。...