プロモーションは大炎上の映画「SLAM DUNK」 スラダンファンが鑑賞して感じた「THE FIRST」に込められた意味とは

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「THE FIRST SLAM DUNK」がファンや観客に伝えたかったのは感謝だけではなく「問い」?

「THE FIRST」の意味は、アニメを含めた過去を「ゼロ」にして仕切り直すという意味ではない。湘北の“頂点”時代を通じて、観客に向けて「バスケットボールはお好きですか?」という“原点”に立ち返った問いを表した映画なのだなとつくづく感じた。

 なお井上先生へのインタビューによれば、何度も映画化の話を断り続けていたが、原作やアニメのファンに「喜んでもらいたい」という思いがメガホンをとる原動力になったという。そして、自身の漫画家としての成長が主人公の成長ともリンクしていたが、年を重ねて「痛み」「うまくいかなくなったこと」にスポットをあてたいと思うようになった、とも話していた。

 少年マンガと「痛み」は切っても切り離せない。それはマンガに限らず、誰しも持っている「青春」にもいえることだと思う。負けるつらさ、大事な人との別れ、取返しのつかない人間関係の失敗。みっともない自分へのイラ立ちと絶望感。「天才」の反対語は凡人ではなくて「努力家」なのかも、と、この映画を見て初めて思った。自分が全く向いてないとあきらめるより、届きそうで届かない夢を見せられている方がつらいこともある。

 原作ファンだろうとアニメファンだろうと原作も知らない世代だろうと、その痛みを知っている観客に、井上先生は映画を通してもう一度語りかけたかったのではないか。「あなたの青春は、スラムダンクとともにあった青春は、お好きですか?」と。

冨士海ネコ

デイリー新潮編集部

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