プロモーションは大炎上の映画「SLAM DUNK」 スラダンファンが鑑賞して感じた「THE FIRST」に込められた意味とは
絵がヌルヌル? 原作改変はある? 実際に見てみて良かった点、悪かった点
すでに鑑賞者によるレビューも多く出ているが、あれだけ批判されていた割にはネガティブな感想はあまり見られない。むしろ絶賛に近いように思われる。わたしも開始5分で湘北メンバーが歩いてくるシーンを見てから、2時間泣きっぱなしで映画に入り込んでしまった。
スラムダンクを読んでバスケ部に入った一人としては、巷で言う「絵のヌルヌル」はあまり気にならず、むしろバスケシーンの音や体感のリアリティーをとても感じた。革のボールを受け止めた時のパスッとした音や、ディフェンスされている時に感じる相手の密着感や圧迫感。あと桜木花道がバスケ歴4カ月の素人ということが、3次元で見るとすごくよくわかる。プレーヤー目線で見た時に変なところに立ってるし(原作ではその理由が暗示されているのだが)、周りが低い姿勢で守備に入っている時、一人だけ重心が高い感じがするのだ。こうしたことは、アニメではあまり再現されていなかったように感じる。
一方、批判が多い点としては、回想シーンの多さやギャグシーンの少なさが挙げられている。「それは別キャラのエピソードでは」「ここであのキャラが出てくるはずなのに」という、原作ファン勢にしかわからない違和感もある。ただ今回の映画は、上記のようにバスケシーンの臨場感を主にするため、なるべくシリアスな方向に寄せたのだろう。だから原作やアニメのコミカルなテンポやかけあいが好きだった人には、確かに物足りないはずだ。また序盤エピソードやラストに賛否両論あるにせよ、2時間で選手の成長を描くために、わかりやすい「外圧」を入れないと話が進まなかったのかもしれない。
声優はもう好みの問題だ。私はアニメでの草尾毅さん版花道が、元気でおバカで素直でかわいらしくて大好きだったけれど、木村昴さんも好演していた。流川は無口キャラとはいえ序盤ずっとはあはあしていて、セリフが少なすぎではと心配になったほど。あと宮城リョータが声も雰囲気もカッコよすぎて、女子にフラれまくるという設定の説得力がなくなっているのがいい意味で誤算だ。
次ページ:「THE FIRST SLAM DUNK」がファンや観客に伝えたかったのは感謝だけではなく「問い」?
[2/3ページ]