江沢民死去で思い出す1998年11月26日の宮中晩さん会 日本人が不快感を覚えた中国の非礼

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「中山服」騒動

 江氏の死去が報道されると、Twitterでも宮中晩餐会での“非礼”なスピーチを振り返る投稿が目立った。

 さらに興味深いことに、江氏が「中山服」と呼ばれる服装だったことが物議を醸したことを記憶していた方も多かったようだ。担当記者が言う。

「中山服は“中国革命の父”である孫文(1866~1925)が考案したと言われています。『人民服』と呼ばれることもあります。正装としても使える『中山装』、作業服として使われることの多い『人民服』と、細かく区分される場合もあるようです。いずれにしても、宮中晩餐会で中山服を身にまとった江氏と、燕尾服をお召しになった今の上皇さまが乾杯する写真が、大きく報道されました」

 江氏の服装に関するTwitterの投稿を具体的に見てみよう。

《天皇陛下との晩餐会で、事もあろうか中山服を着て現れ、「正しい歴史認識、正しい歴史認識」と連呼していたのは、未だに忘れられません》

《江沢民死去。宮中晩餐会という晴れがましい舞台で、パッツパツの人民服(中山服)を着て「歴史を反省しない日本」をこき下ろした無礼千万は、日中関係史の永遠の汚点として残ることでしょう》

野中官房長官の反論

 一方、中山服は非礼には当たらないという投稿も散見される。

《いや、着ているのは中山服という正装です。孫文が来日した際に、学生服を見て作らせたそうです。スピーチは大変失礼でしたが》

《当時は「中山服」も正礼装にあたるものです。英語ではマオカラーと呼ばれたりして》

 週刊新潮は98年12月10日号に、「宮中晩餐会で江沢民主席の『中山服』は非礼か」という特集記事を掲載した。

 記事の内容については後で詳述するが、反響は大きかった。何しろ当時、官房長官を務めていた野中広務氏(1925~2018)が、定例の記者会見で記事の内容に反論したのだ。

 新聞各紙が報じたが、ここでは朝日新聞が同年12月4日に掲載した「『中国の正装、問題ない』 江沢民主席の中山服で野中官房長官」から該当部分を紹介しよう。

《「週刊新潮」が中国の江沢民国家主席が天皇主催の晩さん会で、孫文ゆかりの「中山服」を着用したことを「非礼」と報じたことについて「中山服は中国で正式な服装であり、儀礼上問題があるわけではない。報道はわが国の外交上、やや意図的に国論をゆがめるものだ」と反論した》

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