広島「新井貴浩」新監督に“不安材料” 世代交代を妨げる「功労者問題」を解消できるか

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チーム再建には「たたき上げの主力」が必要

 昨年、ブレイクの兆しが見られた林昂汰は今年、二軍暮らしが続き一軍での出場はなかったほか、将来の正捕手候補として期待が大きかった中村奨成もポジションが固まらず、いまだにレギュラーを奪うことができていない。中村についてはプライベートでスキャンダルが報じられ、ファンからは「野球に集中していないのではないか」との厳しい批判が噴出した。

一方、投手をみても、近年ドラフトで指名した高校卒の選手が、ほとんど一軍の戦力になっていないのが現状だ。かつては“育成上手”と称賛された広島だったが、ここ数年は即戦力として期待された投手が踏ん張って何とかしているという印象だ。再び、強いチームに再建するためには、丸や鈴木のような「たたき上げの主力」が必要なことは明らかだろう。

 新井監督はその親しみやすいキャラクターもあって、選手時代から若手にも慕われてきたが、ともにチームを支えてきた選手たちに対して非情とも言える起用、采配をすることができるのだろうか。“功労者”に対する見極め、選別が最初の大きな仕事になりそうだ。

【広島、2018年レギュラー選手の今季成績】

<捕手>会沢翼:98試合 60安打3本塁打33打点0盗塁 打率.207
<一塁>松山竜平:88試合 33安打2本塁打23打点0盗塁 打率.217
<二塁>菊池涼介:123試合 121安打6本塁打45打点2盗塁 打率.262
<三塁>安部友裕:一軍出場なし(オフに引退)
<遊撃>田中広輔:41試合 8安打0本塁打1打点0盗塁 打率.200
<左翼>バティスタ:退団
<中堅>丸佳浩:退団
<右翼>鈴木誠也:退団

<先発>
大瀬良大地:23試合 8勝9敗0セーブ0ホールド 防御率4.72
ジョンソン:退団
岡田明丈:一軍出場なし
九里亜蓮:26試合 6勝9敗0セーブ0ホールド 防御率3.33
野村祐輔:9試合 2勝3敗0セーブ0ホールド 防御率5.23

<中継ぎ>
ジャクソン:退団
フランスア:3試合 0勝0敗0セーブ0ホールド 防御率8.10(オフに退団)
一岡竜司:10試合 1勝0敗0セーブ1ホールド 防御率2.08
今村猛:引退
アドゥワ誠:一軍出場なし

<抑え>
中崎翔太:28試合 2勝5敗0セーブ7ホールド 防御率6.46

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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