松本伊代の骨折も…大物芸人MCの現場で事故は起こる?過渡期のバラエティーに見る「あちらを立てればこちらが立たぬ」
大物MCと視聴者ウケと安全対策……成立が難しい「三方良し」に制作サイドは四苦八苦?
大物MCたちの「無言の圧」と、売れ始めの芸人たちの野心がかみ合ってしまうと事故が起きやすいのだろう。2012年にはテレビ朝日「Qさま!」の特番で、10メートルの高飛び込みに挑んだスギちゃんが、胸椎を骨折。次いでいとうあさこさんも打撲傷を負ったと報じられた。今年に入ってからも「アメトーーク!」の企画で、ジェラードン・アタック西本さんが鎖骨を骨折。ぐるぐるバットをした後に三段跳び、という流れでフラつくことは容易に想像できるだけに、視聴者からも危険だという指摘は上がっていた。
ヒロミさんの事故は笑いに変えたフジも、収録中の事故は多かった。ずんのやすさんや葛城ユキさんが、「みなさんのおかげでした」の企画内で骨折している。特にやすさんの腰椎骨折は深刻で、一時は復帰も危ぶまれたほどだ。また、芸人ではなく歌手であり、当時54歳の葛城さんを「人間大砲」と称して体を張らせた経緯には非難が集中した。
日テレでは2019年の「絶対に笑ってはいけない青春ハイスクール24時!」での佐野史郎さんの事故が有名だ。液体窒素を入れたペットボトルの破裂する力で、ドラム缶の上に座っていた佐野さんがどれくらい浮くのかという企画で、全治2カ月の骨折をする事故に。また2012年には、ウッチャンナンチャンの内村さんが司会を務めた特番「うわっ!ダマされた大賞2012」にて、ドッキリを仕掛けられたSHELLYさんが驚いた拍子にセットが動いてしまい、全治3週間の骨折をするけがを負っている。
派手な演出に笑う視聴者と、生ぬるいリアクションは許さないであろうMCの利害は一致する。しかし綿密な安全対策も両立せよとなると、途端に破綻してしまうというのが制作側のジレンマなのではないだろうか。だからギリギリのところを攻めても許してくれる、「お約束がわかっているタレント」頼みになってしまうのだろう。
次ページ:体を張る若者タレント不在の時代に……伊代さんの幅広い世代への好感度がアダに?
[2/3ページ]