「板を長くしてジャッジにアピール」「投資や起業も視野に」 モーグル銅・堀島行真の革新性とは(小林信也)
投資や起業も
北京でも実はギリギリだった。負けを案じるネガティブな感情を制しきれなかった。メダルを取った直後、堀島は記者たちに語った。
「予選の1本目から辛かった。昨日も、今日の朝も辛かった。やっとホッとした。ネガティブな気持ちから解放された」
失敗を恐れる気持ちは最後まで堀島を苦しめ続けた。
「でも、北京で負けても終わりじゃない。結果がすべての世界だけれど、勝っても負けても生きていけるという気持ちになれたのが大きかった。一喜一憂しない、その本当の意味がわかりかけた気がします」
26年イタリアでの五輪に向けて、新たな戦いは始まっている。次の4年をどう過ごすビジョンなのか?
「いまは一年中、スポーツに打ち込める環境をもらっているので」と言った後、その文脈と違う言葉を堀島はつないだ。「今年の夏、ウオータートレーニングは3日しかやりませんでした」
通常、夏は約60日、人工斜面からジャンプしてプールに飛び込む。空中のアクロバット技を磨く練習だ。
「一度できた技は何度も反復しなくてもできるので、もっと他のことに時間を使いたい。スポーツ以外の、投資や起業だとか、ビジネスの勉強や活動にも時間を使いたい。その方が長くスポーツを続けられると思うのです」
堀島の思考は古い常識を凌駕している。
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