藤浪晋太郎は「メジャー断念」の危機も…米移籍を目指す選手への“厳しすぎる評価”

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メジャーからも評価が高い千賀

 ただ、そんな中でもメジャーから評価が高い選手は、やはり千賀だという。前出の記者は、以下のように話してくれた。

「2017年のWBCでも見事なピッチングを見せましたが、その時と比べても全てが確実に進化していますよね。まず、ストレートが年々速くなっていますし、長いイニングを投げても球速が落ちません。“お化けフォーク”の印象が強いですが、他の変化球もレベルが高い。一昨年のオフにメジャー移籍を目指しながら断念した菅野智之(巨人)と比べても、ボールの質は圧倒的に上だと思います。既に複数の球団が大型契約を検討していると言われていますが、コンディションさえ維持できれば、十分先発として活躍できる可能性は高いと思います」

 本人も数年前からメジャー移籍を訴え続けており、来るべき日に備えて準備し続けてきたという印象は強い。育成ドラフトでのプロ入りから、メジャーでも一流投手へとなることも十分に期待できそうだ。

 一方で、いずれもポスティングで移籍を目指す吉田と藤浪については厳しい評価になる可能性が高いようだ。

“投資価値”に大きな差

「吉田は、打つ以外のプレーがやはり足を引っ張ることになりますよね。外野手としての能力は日本の中でも、平均以下ですし、足もそこまで速いわけではない。同じ外野手で評価の高かった鈴木誠也が苦戦している点も気になるところです。長打力はメジャーの中では突出していないだけに、守備と足のないアベレージヒッターとなると、やはり評価は高くないでしょう。一方の藤浪は、スピードこそ申し分ありませんが、やはり今の成績では評価は低くなると思います。マウンドやボールといった日本よりも難しいと言われる中で成績を伸ばすことは考えづらいですよね。思ったような条件が提示されず、メジャー行きを断念ということも大いに考えられると思います」(前出のスポーツ紙記者)

 吉田と藤浪が申請したポスティングシステムでの移籍の場合、交渉期限が限られているのも選手にとってはマイナスである。以前は交渉期間が30日間だったのが、今年から45日までと長くなっているものの、近年はメジャーでFAになった選手の交渉が長引くケースも多く、そのことに足を引っ張られることも十分に考えられそうだ。

 3人とも日本での実績は申し分なく、特に千賀と吉田については、現時点で日本を代表する選手であることは間違いないが、アメリカから見ると“投資価値”は大きな差が出ることになりそうだ。そんな中で彼らがどんな決断を下すのか。今後の動向に引き続き注目したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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