「定年になる夫との二人暮らしが心配」 58歳の妻の背中を押したカウンセラーの言葉とは
夫婦には五つのステップがある
夫婦のライフサイクルには五つのステップがある、と私はカウンセリングの際に説明することがあります。これは私が師と仰ぐ社会心理学者の南博先生に教わったものです。
夫婦は成立期―拡張期―拡散期―回帰期―交替期、この五つのステップを経ていくという考え方です(なお、以下は子供がいるご夫婦を前提としていますが、決してそれをスタンダードだと考えているわけではありません。夫婦、家庭のあり方はそれぞれなのは言うまでもありません)。
最初の「成立期」とはどんな時期でしょうか。
夫婦の関係が成立するこの時期は、ひと組の男女の出会いから始まります。二人が出会って恋愛関係となり、結婚し、第1子を出産するまでを「成立期」と呼びます。
この時期に、互いの好きな食べ物、音楽、等々を知る。得意なことや苦手なことはどんなことか、好きなこと、嫌なことはどんなことか等々も、交際中のデートや電話で相手に尋ねたり、言動から察したりすることでお互いを知っていき、そのなかで価値観の違いに気付きます。好きだと思った相手が必ずしも価値観が同じとは限りませんので、二人の価値観の擦り合わせを行う時期でもあります。
恋愛期間だけでなく結婚も同じです。具体的には、結婚式を行うのか行わないのか、どのように執り行うのか、互いの実家をどう受け止めるか、披露宴の招待客の引き出物に何を選ぶか、予算はどの程度かけるのか、新婚旅行先をどこにするか、これら細かく思われることにも、夫と妻の価値観が表れます。
いま58歳の彼女にとっては夫の姓を名乗って入籍するのは当然だったかもしれませんが、今後の時代は、夫の姓にするのか妻の姓にするかだけでなく、どちらかの姓に決めるのが不都合だからと入籍をしないで事実婚を選択する価値観を持った人たちもいるでしょう。そこでも価値観のすり合わせが必要ですね。
そして妊娠した後も話し合うことは山ほどあります。産院、3人暮らしになったあとの住居、家具の配置、ベビーベッドは購入かレンタルか等々。
もちろん赤ちゃんの命名という一大事業も待っています。
生まれてくる赤ちゃんを迎えるまで、相手の意見を聞いたりこちらが主張したりを繰り返しながら、時には夫婦げんかをしながら互いの価値観を擦り合わせていく作業を行っていきますよね。
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