ドラマの過剰コンプラに戸田恵梨香が物申す “言葉狩り”が横行する現状に警鐘

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「タバコを吸わない刑事」

「以前に比べて現場がコンプラに過敏に反応し、自主規制が目立ちますね」

 そう話すのは、メディア文化評論家の碓井広義氏。

「現在の刑事ドラマでは、ほとんど拳銃は発砲しないし、血も流れない。昭和の刑事ドラマとはまるで違います。また刑事といえば、タバコがつきものだったのですが、今のドラマの刑事さんは電子タバコさえ吸っていない。一方で、犯罪者がシートベルトをして逃げるという滑稽な場面が描かれるようになった。こんなこと、視聴者は望んでいません。テレビ局が自主規制しているだけなのです」

「“出る杭”として頑張ってほしい」

 一方で、テレビプロデューサーのデーブ・スペクター氏は、

「民放がスポンサーに忖度して自主規制することはあるとしても、それは仕方がない部分でしょう」

 としながらも、次のように指摘するのだ。

「むしろ問題なのは、一部の視聴者からの言葉狩りによって、過剰な反応がネット記事でさらに拡散される現状です。その結果、BPO(放送倫理・番組向上機構)も調査せざるを得なくなる。テレビがつまらなくなっているのは、局やBPOが抗議の中身を見極めないまま、過度に規制を行ってしまうからではないでしょうか」

 が、そうした風潮がまん延する中にあっても、テレビ評論家の吉田潮さんは、

「女優さんは事務所のイメージ戦略もあり、なかなか思い切った発言ができないと思います。でも、本当はいろいろな発信をしていいはず。例えば樹木希林さんは忖度せずに話す人でしたから、時に舌禍事件も起こしましたが、“私はこうだから”と開き直っていた。戸田さんにも“出る杭”として、もっと頑張ってほしいところです」

 そうエールを送る。歯に衣着せぬ物言いが、大女優へと至るステップとなるのだろうか。

週刊新潮 2022年12月1日号掲載

ワイド特集「バカと無知」より

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