吉田正尚MLB移籍が“近藤獲り”決定打のワケ 「大争奪戦」で本命“オリックス”の声
マネーゲーム誘発の臆測も
プロ野球日本ハムからフリーエージェント(FA)宣言した近藤健介外野手(29)の去就が長期化の様相を呈している。本人は「人生の分岐点」と位置付け、確かに重大な決断には違いないが、他のFA選手では森友哉捕手(西武からオリックスへ移籍)らが素早く結論を出した。近藤はMLB移籍が選択肢にあるならともかく、速やかに決定できる状況だが……。NPB球団元監督は、「結論は年内をめどにし、場合によっては越年も辞さないのは何か理由があるはず。(オリックスからポスティングシステムによるMLB移籍を目指す)吉田(正尚外野手)の去就が絡んでいるとみている」と、同様に移籍を視野に入れる、同じ外野手の存在が近藤の悩みのタネと指摘する。
【写真】“コンちゃん”の愛称で人気の近藤は、地元の“応援大使”としても活動する
近藤が異例の熟考に入っていることで、あえて交渉を長引かせ、マネーゲームを誘発する戦術を採っているのではないかとの臆測も出ていた。事実、ソフトバンクは6年総額30億円から同35億円規模に増額した模様で、ここに来て劣勢を強いられていた古巣日本ハムも条件を見直すと報じられるなど、パ・リーグ5球団による大争奪戦はヒートアップする一方だ。
「日本ハムは新球場元年の来季へ、ファンに向けて主力を引き留める努力を見せる必要がある。だから見直しは限度があるだろう。一方でソフトバンクは是が非でも近藤が欲しい。現時点で獲得に名乗りを上げている球団は全てパ・リーグで、覇権奪回を目指す来季に向け、ライバルチームの戦力アップは阻止したいとの思惑もあるだろう」(在京セ・リーグ球団編成担当)
西武、ロッテにも条件面を見直す猶予は同等に与えられている。しかし、複数の関係者の話を総合すると、近藤は条件のつり上げをもくろんでいるわけではないという。むしろ、吉田の去就が密に絡んでいるとの見解が支配的だ。
重大局面は「ウインターミーティング」
吉田のMLB移籍に向けた現状を、米大手マネジメント会社の代理人がこう説明する。
「吉田は今のところメジャー移籍の感触が芳しくないようだ。メジャーではイチローに始まり、日本人で外野手は内野手に比べると、アメリカでの評価が高かった。ただ、近年は秋山(翔吾=広島)や筒香(嘉智)が好成績を出せなかったことで、日本人外野手への評価が辛くなった。ただでさえ吉田はホームランバッターではなく、アベレージヒッター。三振が少ない打撃以外にウリがなく、来年7月には30歳と年齢が高く、故障も多いので評価が上がってこない」
ポスティング申請は11月1日からスタートしている。今季は申請期間が従来の30日間から45日間に延長され、12月15日が締め切りになった。こうしたスケジュールの中で、MLBでは12月4日~7日(現地時間)に各球団のGMら幹部や代理人らが一堂に会し、移籍交渉が活発化するウインターミーティングが開催される。吉田が俎上に載せられるのも、この時期か。
「実際にポスティングを申請するのはオリックスだが、(吉田の代理人スコット・)ボラスはタイミングを窺っている。メジャーの球団から一定の好感触がないと、ゴーサインは出せない。吉田は今オフの移籍市場で目玉と言える選手ではないだけに、やはりウインターミーティングを待たなければ各球団から何らかの感触は出てこないのではないか。日程的に、ウインターミーティングがポスティング申請のタイミングを決める最後の機会となるはずだ」(同)
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