死刑囚3人が「絞首刑は残虐」と国を提訴 相場を無視した“高額慰謝料”に感じる違和感
議論は重要
「多くの判例がありますから、今回の提訴で、裁判所から『絞首刑は残虐です』と認められることはまずないでしょう。ただし、民事事件は刑事事件ほど迅速に審理されません。一審の判決が出るのにも、1年くらいの期間が必要です。最終的に判決が確定するには、数年はかかると思います」(同・若狭氏)
ちなみにアメリカでは、1994年にサンフランシスコ連邦地裁が「致死性ガスによる死刑執行は違憲」という判断を下した。このためカルフォルニア州は、死刑の執行方法を致死性の注射に切り替えたが、現在は死刑の執行そのものが一時停止されている。
また、アメリカの最高裁は2008年4月、「ケンタッキー州で行われている薬物注射方式による死刑執行は合憲」との判断を下している。
「今回の提訴をきっかけとして、絞首刑以外の方法はどうなのか、死刑執行のシステムに改善点がないのかという国民的な議論が始まったのなら、それはそれで歓迎すべきでしょう。例えば、死刑執行は当日に通告されますが、一時期は前日に通告されていました。死刑囚にとって、いつ通告されるのがより適切なのか、法曹界以外の専門家からも様々な意見が出る。こんな状況になることを期待しています」(同・若狭氏)
註1:“絞首刑は残虐で憲法違反”死刑囚3人差し止め求め提訴 大阪(NHK NEWS WEB:11月29日)
註2:「絞首刑は国際法違反」 死刑囚3人が執行差し止め求め提訴 大阪(毎日新聞電子版・同)