ドイツを圧倒したスペインにどう挑むべきか 付け入る隙は伊東、堂安も指摘した1点のみ

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日本の鍵は守備

 こうしたプレーで重要なのは、「守備の連動性」になる。プレスに行っても、その動きに連動して他の選手が“次の次”まで予測してプレーしないと、最初のプレスが無効になりかねない。

 また、絶えずプレスに行くことも体力的に不可能だ。「いつ、どこでハメに行くか」という共通認識も必要になる。

 日本の守備陣に関しては、11月29日の時点で、まだ右SB酒井宏樹(浦和)とコスタリカ戦で負傷したMF遠藤航(シュツットガルト)は別メニューだったが、CB冨安健洋(アーセナル)が全体練習に合流し、ボールを蹴り始めたのは朗報と言える。

 スペインの左サイドは、攻撃的なSBのJ・アルバに加え、ドイツ戦では左FWに起用されたF・トーレスも高速ドリブラーのため警戒が必要だ。そこでコンディションが回復しているのなら右SBには冨安をコンバートし、MF伊東純也(ランス)との俊足コンビで右サイドをケアしたい。

 スペイン戦ではスタメン復帰が予想される伊東は、ドイツ対スペイン戦を見て、「ドイツでさえ圧倒されているので本当に強いチームだな」と思った。しかし「最終ラインは高いので、その裏を突きたい」と攻略法をイメージしていた。

付け入る隙

 そしてジョーカー的な役割が濃厚な堂安律(フライブルク)も、「相手は高い設定の最終ラインだと思うので、(自分は)受け手にもなって、出し手にもなれる。いろんな局面で自分の良さを出しやすい相手だと思う」と自信をのぞかせた。

 今大会のスペインは、“超”がつくほどではないが攻撃的なチームである。得意のボールポジションで対戦相手をねじ伏せようとする。しかし、伊東や堂安がイメージするように、逆にそこに、日本の付け入る隙もあるはずだ。

 ボランチのMF守田英正(スポルティング)のパートナーは田中碧(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)か、それとも鎌田大地(フランクフルト)なのか。左MFは久保建英(レアル・ソシエダ)か、あるいは三笘薫(ブライトン)をスタメン起用するのか。森保一監督の決断にも注目したい。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

デイリー新潮編集部

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