ドイツを圧倒したスペインにどう挑むべきか 付け入る隙は伊東、堂安も指摘した1点のみ
“個人”も強いスペイン
ペドリは大会中の11月25日に20歳を迎え、ガビはまだ18歳という若さだ。ガビは17歳62日でA代表デビューというスペイン代表史上最年少記録を達成すると、今大会の初戦となったコスタリカ戦では後半30分にゴールを決め、18歳110日というスペインW杯史上最年少ゴールも記録した。
スペインのシステムは4-3-3で、中盤はキャプテンのMFセルヒオ・ブスケツ(バルセロナ)をアンカーに、逆三角形の形で左にペドリ、右にガビが位置する。
この3人がスペインの“心臓部”であり、前線の3人――フェラン・トーレス(バルセロナ)、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)、マルコ・アセンシオ(レアル・マドリード)――、さらには攻撃参加した両SBと1タッチ2タッチでパスを交換しては守備を剥がしていくのが伝統的なスタイルだ。
前述したようにドイツ戦もボールポゼッションで圧倒したが、スペインの怖さはそれだけではない。
先制点は攻撃参加した左SBジョルディ・アルバ(バルセロナ)のクロスを、後半から出場した190センチの長身FWアルバロ・モラタ(アトレティコ・マドリード)がニアで合わせて決めたもの。
この時にドイツのペナルティーエリアには5人のDFがいた。逆にスペインはモラタだけ。そのモラタにもマークは付いていたものの、この瞬間だけはドイツDF陣もエアポケットに陥ったとしか思えないほど集中力を欠いていた。
チームとしての相互理解による質の高いパスワークに加え、個人の判断で局面を打開できる選手がいるのもスペインの強みである。
ドイツの“肉弾戦”
そんなスペインに対してドイツはどう対抗したのか。まず一つは、スペインの唯一の弱点とも言える空中戦である。
前半40分、右FKから190センチの長身CBアントニオ・リュディガー(レアル・マドリード)がヘッドで先制点を決めた。これはオフサイドで取り消されたが、空中戦は大きな武器になる。特に身長170センチ台の両SB、ダニエル・カルバハル(レアル・マドリード)とJ・アルバは狙いどころだ。
ところが残念なことに、日本の前線にストロングヘッダーは不在だ。このため空中戦に関しては、吉田麻也(シャルケ)や板倉滉(ボルシアMG)らが攻撃参加できるセットプレーが数少ないチャンスとなるだろう。
前述したように、前半の立ち上がりはスペインがボールを支配してドイツを攻め立てた。どの選手も巧みにフリーとなってパスを受け、マークが来れば1タッチ2ータッチでボールを離して守備を無力化する。
それに対してドイツは後半、“肉弾戦”を展開した。パスを受けた瞬間にフリーにしてしまうと、次から次へとパスをつながれてしまう。
そこでタイトにマークしつつ、抜かれそうになったらスライディングタックルで突破を阻止し、そこからカウンターに転じた。
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