岸田総理側近が周囲に「地獄が始まる」 公明党への配慮で骨抜きの「救済新法」、岸田派の中堅や若手も不安視
核廃絶への並々ならぬ思い
自民党のベテラン秘書は、
「いまそんなことをすれば、大量の議員が落選する。解散を決断するなら多くの議員が総理を羽交い締めにして、岸田おろしが始まるでしょう」
先の宮沢氏も、
「姑息なことを考える内閣じゃありませんよ」
と否定するし、総理側近もまた「(解散だと)12月に決めるべきものが決められなくなる」と困惑気味に周囲に漏らしている。
もう一つのシナリオは来年5月の広島サミット後解散だ。
「今回の外遊で広島選出である総理の核廃絶への思いは並々ならぬものがありました。G20の首脳宣言では“核兵器の威嚇、使用は受け入れられない”という趣旨の文言が盛り込まれ、総理もご満悦。12月10日から政府が核軍縮に向けた国際会議『国際賢人会議』を広島で行います。総理たっての希望でオバマ元米大統領のビデオメッセージも寄せられる。サミットに向けた地ならしです」(官邸関係者)
岸田総理は外相時代の2016年にオバマ大統領が広島を訪れた際、アテンド役を務め、評価を高めた。その再来とばかりにサミットで支持率を上げ、余勢を駆って解散するのでは、とささやかれているのだ。
中堅、若手も岸田総理を不安視
しかし――。
「サミット後の解散はあり得るけども、支持率次第でしょうね」
とは、総理をよく知る岸田派の関係者。
「確かに核廃絶はライフワークとはいえ、岸田さんは昔から、話し方に訴える力やパッションを感じさせない。サミットのホスト国を務めたからといって、支持率が上がるとは思えません。実はいま、岸田派の中堅や若手議員からも“総理に長期的ビジョンがなさすぎる”と不安視する声が上がり、岸田派OBに相談する議員が出てきています」
かたや、岸田総理の後見役となっている麻生太郎副総裁は周囲に「葉梨と一緒に(寺田も)切ればよかった」とあきれながらも「世界的に見れば、イギリスに比べて岸田は安定しているじゃねえか」と嘯(うそぶ)いているという。実は、伊藤博文を高祖父に持つ松本新大臣のことを麻生氏は日ごろかわいがり、もう一度大臣にしたいと考えていた。今回の起用は、麻生氏に対する岸田総理の配慮でもあったのだ。
佐藤栄作元総理は「改造をするほど首相の権力は下がり、解散をするほど上がる」と語ったとされる。解散を封じられ、低支持率にあえぐ宰相に「地獄」の先の光明は差しそうもない。
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