岸田総理側近が周囲に「地獄が始まる」 公明党への配慮で骨抜きの「救済新法」、岸田派の中堅や若手も不安視
防衛費増額の財源は?
また、防衛費増額問題も総理の頭痛のタネである。
防衛費は現状のGDP比1%から2%への引き上げが検討され、その場合、防衛費が年間5兆円積み増しされる。その財源を政府は法人税で賄う方針とはいえ、経済界から懸念の声が上がっている。加えて、安倍晋三元総理が生前、新たに「防衛国債」を発行すべきだと主張していたため、安倍派内も「増税派」「国債派」で割れている。議論が難航するのは必至の様相だ。
防衛費増額を唱える安倍派の幹部が言う。
「いまはコロナや物価高などもあり、消費税を増税するのは難しい。ならば、法人税しかありません。安倍派の議員の中からは“国債を増発すべし”という声も出ていますけども、将来にツケをまわすような無責任なことはできない。あくまで安倍派で声の大きい4~5人の議員が“国債を”と主張しているにすぎません」
早期解散説
メディアの世論調査でも「増税には反対」が多数を占める。岸田総理のいとこでもある、自民党税調会長の宮沢洋一氏に尋ねると、
「経団連がいろいろ言っているようですね。安倍派もね。防衛費の問題は複雑な方程式なので電話でお話しすることはできません」
先の青山氏は政権の四面楚歌ぶりをこう評する。
「救済法案で野党と難しい交渉をし、防衛費増額でも与党内で渡り合い、それでいて国民からの支持も取り付けないといけない。どれか一つでもダメなら政権が瓦解しかねない厳しい状態です」
さらなる難題は「解散」である。最近取り沙汰されているのが、低支持率打開のための年末年始における早期解散説だ。
この臨時国会では、「10増10減」のための改正公職選挙法が成立し、今後は自民党内の選挙区調整が難航することが予想されている。「早期解散」は調整を前に旧区割りで選挙を行うといういわば禁じ手である。
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