岸田総理側近が周囲に「地獄が始まる」 公明党への配慮で骨抜きの「救済新法」、岸田派の中堅や若手も不安視

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“世耕外し”で29兆円に

 とはいえ、総理が胸を張るその補正予算案の評判も決して高いとはいえない。昨年度の約32兆円に続く大型補正予算となる見込みの本案は、電気・ガスなどの物価高対策を盛り込んでいるが、総花的かつ、まず規模ありきとされ、「バラマキで財政規律を悪化させている」という批判が絶えない。

 そこまでの規模となったのは、自民党内で財政出動を求める声が当初から上がっていたからだった。けん引役だったのが世耕弘成参院幹事長。「規模は30兆円が発射台だ」と公言し30兆円超の予算を要求していた。

「実際の予算が30兆円に乗ると、世耕さんに花を持たせてしまう形になる。それを避けるため、党幹部で示し合わせ、“世耕外し”で29兆円に落ち着いたという経緯でした」(同)

 国民生活を左右する予算の額が党幹部のねたみそねみと主導権争いで決まっているというわけである。

 その補正予算案が無事に国会を通ろうと、課題は残る。それが救済新法だ。

公明党への抗議

 11月18日に政府は茂木幹事長を通じて各党に政府の新法についての概要を示し、理解を求めた。

 先の党関係者によれば、

「国対委員長を長く務めていた森山裕選対委員長は、“内閣提出法案なのに野党に概要を見せるなんて、回し方が悪い”とあきれています」

 創価学会を支持母体とする公明党は、野党が要求していた「年間の可処分所得の4分の1を目安にした寄付上限額の規制」「マインドコントロール下での高額献金の禁止」などについて強く反発。

「与党と立憲、維新で進める4党協議の公明党の実務者だった大口善徳政調会長代理が、協議の際にマインドコントロールの議論をするのかしないのかで発言がふらつき、学会サイドから公明党に強い抗議が来ていました。党幹部が大口氏とは別ルートで官邸や自民党に働きかけ、事なきを得ましたが……」(公明党関係者)

 結果、政府案は、「4分の1」「マインドコントロール」が記載されず、公明党への配慮が見られる“骨抜き法案”となった。当然ながら、野党は攻勢を強めている。

「岸田総理は血眼になって法案を成立させようとするでしょう」

 とは政治ジャーナリストの青山和弘氏。

「立憲などは“中途半端な法案で被害者を救済できるのか”と批判していますから、与野党協議が決裂する可能性もあります。そこで自民党は日本維新の会だけでも賛成に回して野党を分断し、決裂のイメージを少しでも減じたいと狙っています」

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