五輪談合「200億円業務委託一覧表」を入手 バイトに日当「4万円」計上で予算を食い物に 仕切り役の組織委元幹部と受注業者の「ただならぬ関係」

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都からの出向者も「知っていたはず」

 しかも、M氏には今年3月に組織委を退職後、「セレスポに雇われた」という話が持ち上がっているというのだ。

「周辺からそう聞いていますが、どういう肩書きかまでは知りません。セレスポも、あからさまに席を置いてしまったらまずいと考え、表面上は見えない形にしたのではないか」(同)

 セレスポが出している財務報告書を読むと、7〜10億円だったスポーツ事業の売り上げが20年度に32億円、22年度には121億円と突出して急増している。20年度はテストイベント、22年度は本大会の売り上げが計上されたからだと思われるが、M氏の貢献に応えて再就職先として迎えたということなのか。

 セレスポに事実確認したところ、「弊社は捜査協力中につき、捜査に関するご質問に回答できる立場ではございません。コメントを控えさせていただきます」との回答だった。

 このような馴れ合いのなかで、発注者側と受注者側が一体の関係のもとで談合が行われていたというのである。だが、組織委には東京都や国からの出向者もいたはずだ。彼らはいったい何をしていたのか。

「大会運営局の局長や部長には都からの出向者もいましたが、彼らは会場運営についてズブの素人で、M氏らに丸投げの状態でした。ただ、彼らは間違いなく談合が行われていたことを知っていたはずです」

M氏の父親が語ったこと

 川崎市にあるM氏の自宅を訪ねたが、五輪汚職を主導したとして4度逮捕・起訴された組織委元理事の高橋治之被告が住んでいた豪邸と比べると庶民的な二世帯住宅であった。この家にも特捜部は家宅捜索に入っている。

 インターフォンを鳴らすと、高齢の父親が出てきて「1週間くらい前から急に記者が押しかけてきたため、いまは自宅に帰っていません」と答えた。父親は苦渋の表情を浮かべ、こう語った。

「彼は中学から大学まで陸上競技をやってきて、1回就職した後、陸連に引っ張られて、スポーツを広めたいという一心で頑張ってきた。組織委に入ってからも大会を成功させようと、えらい苦労してやってきたと見聞きしています。陸連から行っていたんですから、給料なんてそんなにもらっていません。組織委の責任者だからといって、個人が悪いように書かれているのは信じられない思いです。(高橋被告とは違う?)関係ない関係ない、そんなんじゃないです」

 一覧表を見て浮かんでくるのは、東京オリ・パラを無償で支えた延べ7万6186人のボランティアの顔である。そのウラで、談合した業社が不当に人件費を計上して利益を得ていたならば、許しがたい話だ。捜査当局による実態解明を待ちたい。

デイリー新潮編集部

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