五輪談合「200億円業務委託一覧表」を入手 バイトに日当「4万円」計上で予算を食い物に 仕切り役の組織委元幹部と受注業者の「ただならぬ関係」
東京五輪・パラリンピックのテスト大会業務をめぐる入札談合事件の捜査が進むなか、「デイリー新潮」は会場運営業務で広告代理店大手「電通」など9社が受注した業務委託費の一覧表を大会組織委員会関係者から入手した。一覧表に記されていたのは、社会常識に照らしても高すぎる人件費である。さらに内部証言から、談合を仕切ったとされる組織委の元次長と特定のイベント会社との“怪しい関係”が浮かび上がってきた。
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見せかけだった競争入札
一覧表のタイトルには〈43会場実施運営委託〉とある。新型コロナウイルスの感染拡大で東京五輪の開催が1年延期になる直前の2020年春頃に、組織委の「大会運営局」が作成した内部資料だという。
資料の内容に立ち入る前に、目下、東京地検特捜部と公正取引委員会が捜査を進めている五輪談合事件について整理しておきたい。
談合があったとされるのは、テスト大会の計画立案業務の入札である。2018年、組織委は競技会場ごとに26件の競争入札を実施。広告代理店の電通や博報堂、ADK、イベント制作会社「セレスポ」など9社と共同事業体の1団体が落札したが、競争入札は見せかけで、ほとんどが「1社応札」だった。契約額は1件あたり約400万円から約6000万円で、計約5億4000万円。だが、落札企業が最終的に受注したのはもっと大きな金額である。
「テスト大会の計画立案業務を落札した業者は、テスト大会ばかりでなく本大会の運営も担える『特約』があったとされています。そのまま落札業社が本大会の運営も随意契約で受注し、総額は約200億円に及びます」(担当記者)
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