蒋介石「ひ孫」が台北市長に当選 「血筋は申し分ないが、少し曰くつき」と言われる事情

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地方選と総統選は別

 今回台湾の地方統一選挙は結果として22の県市長のうち民進党5、国民党13、民衆党1、無所属2(嘉義市長選は12月に実施)となり、国民党が蒋万安という未来のホープを送り出し、2020年の総統選挙の惜敗後、意気消沈としていたムードを吹き飛ばす形となった。

 2年後の2024年は、次期総統を選出する闘いが繰り広げられることになるが、蒋氏には2期の台北市政を経験した上で満を持して2028年の総統選に出馬するシナリオがささやかれる。
 
 だが、台北市民の間では蒋氏に対して、こんな厳しい意見もあることも知っておくべきだろう。

「蒋の演説を聞いたが、博士課程を出ている割には稚拙に感じた。毎日キチンとした身だしなみで有権者のマダムを手玉に取ればよいという役割。基本的に良家のボンボンで、過保護に育てられてきた。重要な決定はすべて父親や国民党、ひいては共産党の指導に従うはず」(50代男性・大学教授)

「私は民進党に投票したが、台湾人が地方選挙で候補者を選ぶ時は、本省(台湾)出身でさえあれば政党はあまり関係ない。一方、地方選と総統選は別ものなので、2024年の総統選挙では、中国と距離をおく民進党の候補が当選すると信じている。蒋が指導者の一族であることは確かに選挙では有利に働くだろうが、彼の政治手腕では総統候補には上がってこないと思う」(60代男性)

 国際情勢の行方によって、各党派も台湾人有権者も大事な選択を迫られることになりそうだ。

広橋賢蔵(ひろはし・けんぞう)
台湾在住ライター。台湾観光案内ブログ『歩く台北』編集者。近著に『台湾の秘湯迷走旅』(双葉文庫)など

デイリー新潮編集部

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