「堺・父弟殺人」で無期懲役判決 被告が逮捕前につづった「日記」の中身【後編】
〈えん罪でつかまるぐらいなら〉
そんな彼女は、「朱美日記」なるものを逮捕前に息子らに託していた(写真)。
〈3/27 弟が3時半頃、事務所に来る〉
で始まる直筆の日記はA4横書きで全34枚。おしなべて犯行をカモフラージュする内容だ。ほんの一部を抜粋すると、
〈心臓マッサージをしていたのは私で、義妹は母を起こして、「聖光さんが死んだ」とくり返し言っていた。(略)私は、蘇生しろ‼と心の中でさけんでいた。(義妹に)〉
〈3/28 身内である義妹に、弟を殺したと思われてることに、衝撃を受けて、2階で寝込んでしまう〉
〈5/31 えん罪でつかまるぐらいなら、死のうと何度も考えたが、子供達の事を考えると、死ねない。真実は1つ!〉
そこから日記は具体的なカネの話に分け入って……、財産や保険金、土地建物などを合わせた4千万円弱を弟の聖光(まさみつ)さんの妻が相続、会社にかけられた保険金が下りて4億円ほどを番頭が受け取る……そのスキームのため、弟が自殺するように仕向け、遺書も偽造、自分を犯人に仕立て上げようとしたと訴えるのだ。
「会社の保険金について、仮に掛け金の額が日記にある通りだとしても、契約のうえでは、それが下りるのは4月1日以降に死亡した場合だったようです。弟が亡くなったのは3月27日。受取人と推察される番頭が社長を殺すメリットはまるでない。仮に朱美容疑者が受取人だったとしても、日付の関係で受け取ることはできない。だから府警も“保険金殺人の線はないだろう”としています」(社会部デスク)
日記に戻ると、最終盤には彼女自身の遺書が、
〈仕組んだ側の言い分だけで、令状まで取る警察の浅はかさ。(略)誤認たいほで、人生うばわれるなら、見せしめに死んだるよ。(略)こうやって、えん罪が起きるんです。出て来ても、社会復帰なんて出来へんよ〉
などと、つづられている。
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