“替え玉受験”で逮捕の28歳男は「関西電力本店勤務」 余罪は数千件、そんなに暇だったのか
世間を騒がせている「就活替え玉受験事件」が、日本のリモートワークを後退させるかもしれない──こんな懸念が、関係者の間で囁かれているという。警視庁は11月21日、関西電力社員の田中信人容疑者(28)を私電磁的記録不正作出・同供用容疑で逮捕した。その後の大きな反響は、ご存知の通りだ。
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【写真をみる】「無事に内定頂きました!」 田中容疑者がSNSにアップしていた依頼人からの"感謝状”
まずは逮捕容疑を確認しておこう。担当記者が言う。
「田中容疑者は今年の春、東京都内に住む20歳代の女子大生から報酬4000円を受け取り、企業が入社希望の就活生に課す適性検査を、彼女になりすまして受験した疑いが持たれています。数年前からTwitterなどで『WEBテスト代行』をうたい、1科目2000円で替え玉受験を請け負っていたと見られているのです」
取り調べには素直に応じ、「学生から感謝されてやりがいを感じていた」と供述しているという。
「田中容疑者が作成したと思われるTwitterのアカウントなどから、滋賀県の進学高を卒業し、最終学歴は京都大学の大学院修了であることが分かっています。また、逮捕時は関西電力の社員でしたが、Twitterには外資系のコンサルティング企業に勤務したこともあると書かれていました」(同・記者)
田中容疑者のものと思われるTwitterには《僕はバリバリ理系なので》との投稿もあった。特に計数のテストが得意と記されており、就活生に対するアピールだったと考えられている。
「Twitterのプロフィール欄では、替え玉受験を《4年》間で《4000件以上》も請け負い、《通過率95%以上》と“実績”を強調していました。また《2科目4000円》と料金も明記されていました。大学院生の頃から犯行に手を染め、TOEICの替え玉受験も請け負っていたと報じられています(註1・2)」(同・記者)
大学院生の頃から請け負い
警視庁は田中容疑者が4年間で約1000万円の報酬を得たと見て、さらに調べを続けているという。
それにしても、年間1000件もの依頼があるとは驚かされる。しかし、入社試験のWEBテストで替え玉受験が横行していることは、就活生も企業も「常識」という認識だったようだ。
「就職情報会社のディスコが昨年、就活生1200人に実施した調査によると、WEBテストの不正に関して、約3割が『周囲がやっていた』と回答しています。さらに、人材分析サービス会社のアッテルが一昨年、約300社の採用担当者に実施した調査では、『替え玉受験が課題』との回答は66%に達したそうです」(同・記者)
田中容疑者の逮捕で相当数のアカウントが消去されてしまったが、つい最近までTwitterで「WEBテスト代行」と検索すると、多数の“業者”が表示されたという。
そもそも田中容疑者も、大学院生の時に仲間とグループを作って“替え玉ビジネス”を始めたようだ。
ABEMAタイムスは11月24日、「1万5000円→2000円で“替え玉受験”『ウィンウィンの関係だと思った』当初はグループ犯行」の記事を配信した。
「この記事によると、グループは1件1万5000円で替え玉受験を引き受け、そのうち2000円が田中容疑者の報酬だったそうです。田中容疑者は今春にグループを抜け、1人で“替え玉ビジネス”を始めました。いわば“独立”し、フリーランスになったようなイメージです」(同・記者)
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