面積は秋田県とほぼ同じ カタールの常識と非常識
カタール人は全人口の1割
カタールは秋田県ほどの広さに人口280万人を抱える小さな国だ。
しかし、カタール人は全人口の1割にすぎない。
少数派のカタール人は教育費や医療費、光熱費が無料、所得税も消費税も無し、と地上の楽園にいるかのような暮らしを謳歌しているが、一方で人口の大多数を占める南アジアやアフリカ出身の外国人労働者は劣悪な環境にあえいでいる。
今回のワールドカップのために、実行委員会は八つの競技場を用意したが、そのうち、決勝戦で使用されるルサイル・アイコニック・スタジアムをはじめ七つは新設されたもの。
建設に集められた外国人労働者は低賃金で過酷な労働を強いられ、建築期間中、約6500人が命を落としたことは大きな問題として報道されている。
同国の人権侵害については、開催中の今も強い批判の対象となっている。
優先される開催国側の事情
イスラム圏開催ならではの懸念材料としては、女性のヒジャブ着用、食事に関するタブーなどもある。
特に疲労回復に効果のある豚肉をメニューに組み込めないのは、スタミナが命のサッカー選手にとって頭の痛い問題。加工品も含め、豚肉を持ち込むことが禁じられているのだ。
日本代表に帯同する西芳照シェフは、豚肉に代わるビタミンB1の補給源として、レバーなどの食材の使用を考えている。
「ドーハの奇跡」そのものは実に喜ばしいことなのだが、大小さまざまな問題からは選手ファーストではなく、FIFAと開催国との関係性を優先する姿勢が見え隠れする。
近年のオリンピックにも通ずるところがあるのだろうか。
東京五輪のように、閉幕後に次々と不正が明るみに出る、なんてことにならなければいいのだが。