コロナ禍で“悪者扱い”され続けた祭りの良さを再認識 フィーリングで叩く専門家たち(中川淳一郎)
日本の祭り、いいですね~。11月2日・3日・4日とユネスコ無形文化遺産・唐津くんちが3年ぶりにフルで開催されました。もう来年が楽しみなぐらい、良い3日間を過ごしました。いや、3日間だけではない。10月に入ってから唐津の街では夕方になるとどこか物悲しい笛の音と威勢の良い太鼓の音が聞こえ、本番間近を感じられます。商店にはポスターが貼られ、スーパーでは振る舞い酒が売られ、1カ月間、唐津は全体的に高揚していくのです。
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いろいろな人から「ウチにおいでよ」「店を借り切ったから一緒に飲もう」と言われ、2階の特等席から巨大な曳山が「エンヤエンヤ」と曳かれていく様を見ました。初日の「宵山」、点灯式で明かりがついた瞬間の様子は鳥肌が立ちました。それぞれの曳山が所属する町では、亡くなった町民の家の前で遺族が遺影を掲げ、泣きながら笛を吹き、太鼓を精魂込めて叩く。これには私も思わずもらい泣き。いやぁ~、素晴らしかった。
さて、祭りはこの2年10カ月、散々悪者にされました。最近では8月の阿波踊りです。この開催を巡っては、関与を外れた徳島新聞が阿波踊りをコロナ陽性者増加の要因と叩く論陣を張りました。そういったことも受けてか、一部の医師が阿波踊りを「メガクラスターの発生源」的に叩きました。あの頃は全国的に増加傾向にあったので、阿波踊りのせいだとするのは無理がある。あくまでもフィーリングで叩くだけです。
結局、コロナについては目立つものが延々と叩かれ続けたのです。それらを振り返ってみて、ごく一部を挙げるとこんな感じ。タクシー、屋形船、ライブハウス、K-1、花見、音楽フェス「NAMIMONOGATARI」、帰省、東京五輪、だんじり、忘年会、成人式、卒業式、入学式、そして阿波踊り。
専門家と称される人々は「夏休みは移動があるため感染拡大する」と言ったかと思えば、「新学期が始まると人が集まるため新学期開始を遅らせるべきだ」と言った。あのさ、もう、2021年の段階で家庭内感染と病院・高齢者施設感染が多いって明らかだったのになぜいつまでも「悪者」の設定を変えられないのか。
そして、これらを叩いた人々はクラスターが発生しなかった場合はしれっと「なかったこと」にする。そして、次の悪者を探しに行く。これがもう2年10カ月も続いているのです。サンドバッグになった人々は損害賠償請求のしようがない。東京五輪なんて「殺人五輪」と呼ばれ、「世界中からやってくる人々によりハイブリッド型の極悪株が誕生する」と言われましたが、そんなことはなかった。無観客で開催ってなんのメリットがあったんだよ。
そして、もう一つ不思議なのが、「叩く空気感になったもの」を叩くことです。11月6日に行われた「ぎふ信長まつり」は木村拓哉が武者行列に登場したこともあり46万人の観客で盛り上がりました。
しかし、メディアが木村を叩くことができないから、専門家らもこの祭りを叩けない。今から言っておくが、今後佐賀県でコロナ陽性者が増えた場合、唐津くんち、そして佐賀市のバルーンフェスタのせいにするなよ、やぶ医者連中め。