偏差値は1千万円でいくつ上がる? 「中高一貫校」と「公立コース」どちらがいい? 成田悠輔×藤沢数希 コスパに見る東大合格大作戦
アメリカの有名大学を出ても、日本に帰ってくると…
――最近、日本の秀才の受け入れ先、東大の「上位互換」として、スタンフォードやハーバードといった海外有名大学に学部から入ってしまうというトレンドも、日本のエリート高校では生まれつつあるようですね。
成田 実情からいうと、日本国籍でアメリカの大学を卒業しても、その後、就労ビザとかを取るのは大変で、バラ色のキャリアが手に入るわけでもなく、大半は日本に戻ってきます。そうなると、アメリカの有名大学卒の学歴は、東大早慶のコミュニティでは尊敬されるかもしれないけど、平均的な日本人からみれば、単なる部外者になってしまうという難しさもあるなと思います。
藤沢 海外で箔をつけても、日本で通用するのはガラパゴス学歴ということですね。
――英語の修得はずっと日本の教育の課題です。
藤沢 やっぱり日本の英語教育は駄目なんですよ。すごい受験勉強を頑張って、東大に入るような人でも英語のコミュニケーションはかなり苦手。英語の入試をTOEFLとかに置き換えるという議論もされたのですが、最後の最後で東大の先生とかもめっちゃくちゃ反対して潰されちゃった。だから、日本の学校のカリキュラムをこなしてるだけでは英語ができるようにならない。特にリスニングとスピーキングについては、各家庭がオーストラリアやニュージーランド、安いところではフィリピンに短期の語学留学をするなどして対処すればいいんじゃないでしょうか。それで英会話くらいはできるようになると思います。
成田 僕の場合、英語がなんとかできるようになったのはアメリカに来てからですね。24歳ぐらいの段階だと、ほぼゼロでした。大学出るときに「冷やかし就活」をちょっとだけしたんです。ところが、どっかの会社で英語面接があったときに、一言も喋れずに帰ってきた記憶があります。今も話せるのは最低限のサバイバル英語だけです。
藤沢 僕はフィリピンで働いていた叔父のところに行ったときに、子供ながらに英語は話せなきゃいけないんだなと思い、中高と興味を持って音声教材を使って勉強していましたから、英語は割とスムーズにできるようになりました。
成田 これだけ円安になってしまい、成長している企業や産業が国内に産まれてこないと、日本人が海外に出稼ぎに行かなければならなくなる。英語力は、日本人がそんな残念な境遇に陥った時のサバイバルキットかもしれませんね。
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