インバウンド解禁で聖地ドンキは「コロナ前の4割近く回復」も… 頼みの“爆買い中国人”に一抹の不安
自国製品に目を向け始めた中国人
アリババが運営する中国最大の小売りオンラインショッピングモール「天猫」でも、独身の日のイベント「ダブルイレブン・ショッピングフェスティバル」が10月24日から11月11日まで開催された。
天猫の「ダブルイレブン初日4時間の売り上げランキング」を見ると、「美容美肌」部門の9位に資生堂の名前があるほか、14位に同社の最高級化粧品ラインのクレ・ド・ポー・ボーテ(CPB) や16位に美顔器で知られるヤーマンといった、日本のブランドが確認できる。ちなみに1位はロレアル、2位はランコムといずれもフランスの有名ブランドだ(参考:中国市場戦略研究所)。
渡辺氏が注目するのは、Winona(4位)やPROYA(5位)、QHD(7位)といった中国ブランドがランキング上位に位置している点だという。「スキンケア」や「メイクアップ」部門でも同様の傾向が見られた。
「『育児』や『トイレタリー』部門では特に中国国内メーカーの伸長が著しく、日本を含む海外製のシェアを奪いつつある状況です。きめ細かなモノづくりに優位性のある日本製品の需要が大きく減ることはないでしょうが、中国人が自国の製品に目を向けるようになったとは言える。これをインバウンド需要に当てはめれば、主に美容関連商品で“無理して日本製を買わなくても良いか”という動きに繋がってもおかしくありません」
中国からの渡航が解禁されても、かつてのような爆買いが起きるかは怪しい、というわけだ。
「これまでは日本で人気のブランドを中国にもっていけば売れたわけですが、そうした状況も落ち着いてきました。今後、日本のメーカーは海外の消費者の需要を深掘りし、彼ら向けの商品を開発するステージに移行していくタイミングかもしれません。それは先の渋谷への集客と同様です。中国および東南アジアに向けたビジネスが、日本の経済を維持するためにますます重要になっていくことでしょう」