W杯開催国「カタール」に悪評噴出 中東の専門家は「成金体質から抜け出すことが必要」

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カタールと日本

 今後もカタールW杯を巡っては、議論百出の状況が続く可能性が高い。中東問題の専門家は今回の騒動をどう見ているのだろう。

 佐々木良昭氏は19歳でイスラム教に入信、1970年、拓殖大学商学部を卒業後、国立リビア大学神学部に入学。その後、在日リビア大使館渉外担当、拓殖大学海外事情研究所教授、笹川平和財団特別研究員などを歴任した中東問題のスペシャリストだ。

 中東諸国の実像を深く知る佐々木氏に、特に欧米の大手メディアが相次いで厳しい報道を行っていることについてどう思うか取材を依頼した。

「カタールは昔から天然真珠の産地として有名でしたが、小国であったため経済的に豊かな国ではありませんでした。第二次世界大戦後に中東諸国のオイルマネーが世界を席巻したものの、小国のカタールが国際社会で存在感を示すことはありませんでした。そんな国家に一大転機が訪れたのは1996年のことです」

 カタールには世界最大級の天然ガス田があったのだ。それに注目していた日本は、“ポスト原油”の重要性をカタールに助言、開発推進の重要性を訴え続けた。

いびつな社会

 そして1996年、日本企業がカタールから液化天然ガスを25年間にわたって輸入するという長期の大型契約を締結。一気に“ジャパンマネー”が流れ込み、カタールは目に見えて豊かになっていく。

 一方で、急速な発展は様々な軋轢も生じさせた。例えば人口問題を見るだけでも、カタールのいびつな社会構造が浮き彫りになるという。

「カタール統計庁が発表している人口は、2021年10月現在で約266万人です。ただし生粋のカタール人は、そのうちの10分の1と見られています。残りは外国人労働者がカウントされているようです。そのため、人口の7割近くが男性というデータもあります」(前出の記者)

 佐々木氏は「小国が大金を手にして、いわば成金のように派手な国家になりました。中東諸国ではよくあることです」と言う。

「生粋のカタール人と付き合うと、その純朴さ、親切心は特筆すべきものがあります。とはいえ、あえて悪い言い方をすれば、彼らは“田舎者”だとも言えます。人権問題に関する知識は乏しく、西欧諸国の“常識”とは相当な隔たりがあります」

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