W杯開催国「カタール」に悪評噴出 中東の専門家は「成金体質から抜け出すことが必要」
ベッカムも“炎上”
《開幕まで10日余りとなる中、大会アンバサダーを務める元カタール代表MFカリッド・サルマーン氏はドイツ『ZDF』で、性的マイノリティについて「彼らはここで我々のルールを受け入れなくてはいけない。同性愛はハラームだ。ハラーム(禁止)の意味を知っているだろう?」と言及》
《さらに、同性愛が禁止の理由を問われると「私は敬虔なムスリムではないが、なぜこれがハラームなのかって? なぜなら、精神へのダメージになるからだ」と主張し、そこでインタビューは中止された》
この発言は当然ながら、多くの“先進国”で問題視された。同じく大会アンバサダーを務める元イングランド代表のデビット・ベッカム氏(47)にも批判は飛び火した。
「ベッカム氏は長年にわたって、特にゲイの権利擁護を支援する活動を行ってきました。ところが、W杯の開催国であるカタールはLGBTに対する偏見を隠そうともせず、ベッカム氏は抗議するどころかアンバサダーとして宣伝役を務めている。これはさすがに“言行不一致”なのでは、とイギリス国内で批判の声が上がっているのです」(同・記者)
誘致に際しては贈収賄の疑惑も浮上している。アメリカ司法省は2020年、「開催国選定の際、カタール側から賄賂を受け取った」として、FIFA(国際サッカー連盟)の元幹部2人を告発したと発表した。
前会長は批判
相次ぐ不祥事にFIFAのゼップ・ブラッター前会長(86)は、「カタールを開催国にしたのは間違いだった」と発言。こちらも各国で大きく報道され、時事通信も9日、「ブラッター氏『カタールは間違い』 FIFA前会長―サッカーW杯」の記事を配信した。
《国際サッカー連盟(FIFA)のゼップ・ブラッター前会長が、今月20日に開幕するワールドカップ(W杯)について「カタールは間違い。選択が悪かった」とスイス紙に語った》
一方、ジャンニ・インファンティーノ現会長(52)は、カタールに対する厳しい報道を「偽善」と強く反発している。BBC NEWS JAPANは20日、「FIFA会長、カタール批判は西側諸国の『偽善』 W杯開催国の人権問題めぐり」との記事を配信した。
《スイス生まれのインファンティーノ氏は、欧州諸国はカタールの移民労働者の問題に注目するのではなく、自国の歴史の中で行った行為を謝罪すべきだと述べた》
《「私は欧州人だ。我々は道徳について説教をする前に、世界中で3000年間やってきたことに対し、今後3000年間、謝罪し続けるべきだ」》
かつて欧米各国は、ひどい人権侵害に手を染めてきたではないか、カタールを批判できた義理か──インファンティーノ会長は、このような論理で開催国の“名誉”を守ろうとしたようだ。
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