「ハイサイおじさん」の喜納昌吉、なぜ沖縄から嫌われる? YMOにも影響を与えた異能の音楽家の半生

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「こびを売るとしたら、それは世界平和に対してだけ」

 喜納昌吉の言動には賛否両論あるだろう。が、政界やメディアから昌吉を排除するような動きにはやはり大きな疑問が残る。しかも、よくよく見ると、排除の動機には「昌吉が嫌い」という感情的なものよりも、政治的なものが目立っている。

 権威や権力と闘うヒッピー的、革新的な主張の持ち主という印象が強い昌吉だから、保守層から敵視されるならわかるが、排除しているのは、主に「オール沖縄」を始めとする革新勢力や彼らを支援するメディア関係者だ。

 こうした逆風をまともに受けている当の喜納昌吉は筆者に淡々と語った。

「喜納昌吉はKYだとよくいわれる。昌吉は空気を読めないという意味だろうが、そうじゃない、あえて空気を読まない。利権・既得権や組織を守るために、人の命や心、そして自然など、大切なものを簡単に切り捨ててしまう人たちにはきっぱりノーという。相手がバイデンだろうが、金正恩だろうが関係ない。だから嫌われるし、クレージーだと言われる。でも、これからも世界を変えるために歌いつづけるし、発言しつづける。こびを売るとしたら、それは世界平和に対してだけだね」

 孤高の異端児、喜納昌吉。74歳とはとても思えないその若々しい風貌からは、いまもLove&Peaceの強烈なビームが放たれている。

篠原 章(しのはらあきら)
評論家。1956年山梨県生まれ。経済学博士(成城大学)。大学教員を経て評論活動に入る。主なフィールドは音楽文化、沖縄、社会経済一般で、著書に『日本ロック雑誌クロニクル』、『沖縄の不都合な真実』(大久保潤との共著)、『外連の島・沖縄』などがある。

週刊新潮 2022年11月17日号掲載

特別読物「『本土復帰50周年』でも『ハイサイおじさん』『花』の異能音楽家に出番なし なぜ『喜納昌吉』は沖縄から嫌われるのか」より

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