麻雀中も握力強化、始球式の1球のためにブルペンで投球練習 村田兆治さんの“求道者のようなストイックさ”を元チームメートらが証言
始球式の1球のためにブルペンで投球練習
元ロッテの強打者で監督も務めた有藤通世氏(75)は、あらためて村田さんの求道者ぶりを指摘する。
「キャンプの過ごし方にしても、なんでこんなに自分を追い詰めるんや、と思ったものです。毎日300球くらい投げ込んでいたイメージです。それくらいしないと落ち着かなかったのでしょう。ストイックさは野球への取り組み方から食事や生活の管理まで、金田正一さんの影響が大きかったと思う。2016年に始球式で130キロ以上出して驚かれましたよね。あのときもたかだか1球投げるだけなのに、ブルペンで投球練習をしてから、始球式に臨んでいましたからね。無様な姿を見せたくない、というこだわりがあったのでしょう。野球に関しては手抜きのての字もないんです」
この姿勢についていける選手は、そうはいないだろう。だが、有藤氏は、村田さんが監督になれなかった別の理由も推測する。
「王監督のもと、ダイエーのコーチをやりましたよね。そのとき体調を崩してユニフォームを脱いだでしょう。球団にしたら、いつ体調を崩すかわからないとなると、雇いづらいというのはあるんじゃないですかね」
張本氏は、
「王監督とぶつかって、コップの水をかけられたこともあったとか」
と回想するが、方針をめぐってのイライラが、体調にも影響したのだろうか。
「そのコーチ時代に心筋梗塞を患い、手術をしています。それなのにタバコを吸っていたので、“心筋梗塞の発作を2度も起こしているのに、タバコなんか吸っちゃだめだよ”といさめたことがあります」(得津氏)
常に自分を磨き、完璧な状態を見せたい――という思いは、現役引退後もずっと村田さんの中から消えることはなかったようだ。