水原希子も絶賛 老舗ラブホの名物「回転ベッド」を、女性カメラマンが自宅で“保存”する深い理由

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「回転ベッドください!」とオーナーに直談判

 全国を巡って撮影を続けていたある日、「シャトーすがも閉業」のニュースが飛び込んできた。

「シャトーすがもさんは、何度も撮影に訪れた、思い入れのあるホテルでした。閉業はボイラーの故障が大きな理由です。オーナーさんに“今、クラウドファンディングとかありますよね。いくら集まったら営業再開したいですか?”と聞いたところ、“2000万円”という答えでした。2000万円なんて、趣味の人間がどんなに頑張っても払える金額じゃありません。オーナーさんに“払って”とも絶対に言えません。やすやすと“再開して欲しい”とは言えなくなりました」

 解体に口を挟める立場ではない。那部さんはせめてこのホテルの名物、昭和生まれの回転ベッドを引き取り、大切にしようと考えた。

「ベッドはだいたい建物の解体と共に壊されてしまいます。そのため、いま現役で回転するベッドは全国的に見ても少なくなっています。回転ベッド自体は現在も製造されていますが、機能的にシンプルなもので、こんなに派手な装飾のものはもう作られていません」

 ラブホテルに初めて回転ベッドが設置されたのは1960年代後半。鏡張りの壁とセットで大人気になり、1970年代以降に設置数を伸ばした。

 しかし、1985年(昭和60年)に施行された新風営法によって、回転ベッドや鏡張りの部屋は、「客の性的好奇心に応ずるため設けられた設備」とされ、設置したホテルは風営法の対象に。警察の監督下に置かれることを嫌がり、新たに設置するホテルはなくなった。結果として、回転ベッドや鏡張りの部屋は純然たる“昭和遺産”となった。そして昭和ラブホが減っていくのに伴い、回転ベッドもどんどんレア化。いまや絶滅危惧状態にある。

「実は私、以前から回転ベッドを家に置きたいと思っていました。ちょうど鉄道好きが引退する車両のプレートや座席を家に置きたいと思うのと同じようなものですね。303号室の回転ベッドは、デザインが好きで、状態も良い。それに搬送距離が現実的だったので、オーナーさんに『引き取りたい』と伝えたら許可してくれました。もちろん、タダではなく、それなりのお金はお支払いしています」

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