魚を週2で食べるとリスク低減? 歩き過ぎは禁物? 認知症の予防法と超早期発見のカギとは
患者の脳には三つの特徴が
アルツハイマー病患者の脳には三つの特徴が見られます。「老人斑」「神経原線維変化」「萎縮」です。
老人斑とは、アルツハイマー病の原因物質としてよく知られているアミロイドβというタンパク質がたまり、脳の表面にできる「シミ」のような塊です。
神経原線維変化とは、もともと細胞に存在するタウというタンパク質が多量に蓄積し、そして過剰にリン酸化されることで糸くずみたいな状態になってしまうことを指します。言ってみれば、老人斑も神経原線維変化も、脳内にできるタンパク質のゴミのようなものです。そして萎縮は、文字通り加齢とともに脳が萎縮していく状態です。
最初の兆候はアミロイドβではない
これまで、「アルツハイマー病の原因はアミロイドβである」という説が一般に広まってきましたが、実は脳内で起きる最初の病理変化、すなわち脳の老化は、嗅内野での神経原線維変化であることが分かってきたのです。分かりやすく言うと、アルツハイマー病の最初の“兆候”はタウタンパクの神経原線維変化で、アミロイドβによる老人斑が症状を加速させる。あわせて脳が萎縮していく。これがアルツハイマー病のメカニズムなのです。
従って、アルツハイマー病対策を早く始めるには、嗅内野の異変である神経原線維変化に気付けばいいということになるわけです。
しかし、厄介なことに、その変化はMRIなどの画像診断には写り込まない。また現在、認知症の検査としては、日付や曜日が言えるか、簡単な計算ができるかなどを点数化して診断する「長谷川式スケール」が一般的ですが、この検査が有効なのは、認知症の一歩手前の状態である軽度認知症(MCI)の段階までです。それ以前の「認知機能の衰え」を測ることはできません。
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