野球ファン人気No.1「袴田彩会」アナ 転機は「楽天」と「奇跡のお相手・里崎さん」

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ライバルに負けたくないと始めた野球観戦

――念願だったアナウンサーになってからはどうだったのでしょう。

 今、グラビアアイドルをしている薄井しお里ちゃんと同期入社だったんですが、薄井ちゃんはアナウンス技術が高く、見た目も清楚で真面目な感じだったので、入った瞬間から報道という感じでした。実際、フタを開けると結構エロいお姉さんで、今の姿の方が本当なんですけど(笑)。

 ですけど、仕事上はすごく真面目ですし、彼女は報道、私は報道以外の情報番組などを担当という感じになりました。

――そこから楽天イーグルスと出会い、今につながるわけですが、そもそも野球に興味はあったんですか。

 野球自体は見ていたんですけど、そこまで熱心ではなく。2013年に東北放送に入って、イーグルスの開幕戦を見に行き、勝利の風船や応援歌と球場の雰囲気に魅了されハマりました。その後は、上司に取材パスをいただいて、イーグルスのホーム戦はほぼ毎日見に行っていました。

 野球を知るにつれてどんどん面白くなったのもあったんですが、もう一つ同期に負けたくないという思いもあったんです。薄井ちゃんのアナウンス技術が高かった一方、私は本当に下手くそだったので「イーグルスに関しては自分が一番詳しくなってやる」と思いました。

 17時半に勤務が終わったら、球場に行って、記者席でスコアブックをつけながら、最後まで試合を見て帰宅する。そんな毎日だったので、選手やコーチの名前もどんどん覚えましたし、記者席にいる記者さんとも仲良くなりました。

 すると毎回、私が記者席にいることに局のスポーツ部長が気づいて「だったら、グラウンドで取材してみるか?」って言ってもらえるようになり、その年イーグルスが優勝した際「ビールかけの取材に行ってこい」と言われることにつながって。それがスポーツでの転機だったと思います。

――応援しているチームのビールかけを取材するのはファン冥利に尽きますね。

 今だったら絶対かしこまっちゃうと思うんですが、新人だからこそ思い切って行けました。ビールかけでは選手はゴーグルをしたり、変装したりするじゃないですか。でも、試合を見ていたおかげで選手、コーチ全員の顔の認識ができました。それに選手の入団年も把握していたので「入団何年目での優勝ですがいかがですか」と詳細な聞き方ができたことで、いろんな方に評価していただけました。

――勉強の成果がそこで出たんですね。

 すごく出ましたね。即席じゃなく日々コツコツと自然に身についていた知識で、地道な努力って大事なんだなと思いました。

 東北放送時代、私は朝番組のMCをやっていたんですが、スポーツコーナーのディレクターも兼務で、その日の朝、どのニュースを取り扱うか、どの新聞記事を扱うか、何をしゃべるか。大体約5分から10分のコーナーの全権が私に任されていました。

 なので、「今日はトップがイーグルス。次がベガルタ(仙台)。次はアマチュアスポーツ」と何をピックアップするか、全部自分で考えますし、間違った情報を伝えちゃいけないので、めちゃめちゃデータを調べていました。日々仕事する中でもう自分の知識に自信がないので、ひたすら調べて調べて。毎日が勉強でしたね。

――イーグルスの仕事も増えていきましたが、取材で気をつけていたことはありますか。

 周りのアナウンサーがほぼ男性しかいなかったんですよ。そんな中で女性として取材するのって立場が難しくて。「女の方がどうせ選手は話してくれるんだろ」という視線がやっぱりありました。

 私は先輩たちにきちんと認めてもらいたかったので、めっちゃ地味な格好で取材していました。女を絶対出したくなかったんです。だから、ぺったんこの靴にパンツ、上は大体シャツと色気を出さない格好で、球団の人に「もうちょっと可愛い格好してきた方がいいんじゃない?」って言われるぐらい。

 とにかく「女だから」って思われたくなかったんです。多分、負けず嫌いなんですかね。そうした姿勢を球団の方も信頼していただいていたのかなと思います。

――やがてヒーローインタビューのアナウンサーも任されるようになります。

 実は、私がヒーローインタビューを担当した日って1回も負けてないんです。球団の方がいつも勝つので、ヒーローインタビューをする日は「袴田さん、今日はよろしくお願いします」って頭下げに来てくれるっていう(笑)。

 ヒーローインタビューって、人によっては観客がわーっとなっているときに次の質問にいったり、あまり観客に向けてというのを意識しない方もいるんですよ。選手の言葉だけ聞ければいいって。でも、観客に選手が言葉を投げかけると、観客もそれに応えてくれるじゃないですか。私はそれが好きだったので、ファンも一緒のヒーローインタビューをすごく意識してやっていたんです。当時の立花球団社長に「袴田さんのヒーローインタビューはいいね」と、そこをすごく褒めていただき、嬉しかったです。

――イーグルスは今季、金曜日の試合で19連敗し「魔の金曜日」と呼ばれました。“勝利の女神”と呼ばれた袴田さん、来てくださいとは言われなかったんですか?

 言われなかったですね(笑)。6月10日、仙台で始球式をやったときも金曜日だったんですが、負けてしまいました。ヒーローインタビューをやめてからは全然勝ち運がないんですよ。8月26日に千葉で始球式をやったときも金曜日だったんですが、イーグルスが負けてしまって。プライベートで見に行った試合でも負けてますし、“勝利の女神”とはちょっともう言えなくなっちゃってます(苦笑)。

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