東京駅ホーム番号の「欠番」を答えられますか? JR東海vs.JR東日本の構図を探る

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11番線ホームは存在したことがない

 もともと11番線は欠番であったので、新しいホームは11・12番線、そしてそれまでの12・13番線のホームは13・14番線とすればよいのではとだれもが考える。そして、JR東海にも協力してもらい、東海道・山陽新幹線のホームの番号は1つずつずらした15~21番線とすればすっきりと解決するのではないだろうか。

 ちなみに、東京駅が開業以来、11番線ホームは存在したことがない。1988(昭和63)年9・10番ホームと12・13番ホームとの間に線路が1本あり、東京駅に客車を牽引して到着した機関車を反対側に移動させる役割を担っていた。この線路が11番線で、ホームは不要ということで一般には案内されていない。1990(平成2)年6月20日に東北・上越新幹線が東京駅に乗り入れることが決まり、11番線は新たなホームを建設する場所を空けるため、1988(昭和63)年3月に姿を消す。

 さて、2000年代の初頭、筆者はJR東海の担当者に東京駅のホームの番号について聞いたことがある。変更を考えていないという旨の答えであった。こう言うとJR東海が意地悪をしているように思われるかもしれないがそうではない。JR東日本から変えてほしいとの要請がなかったのでという注釈が付く。仮にJR東海が気を効かせてそれまでの14~19番線をたとえば20~25番線に変えてしまったら、20~23番線が重複する事態になったかもしれない。

ホームの番号を変えるとなると

 東京駅を改装したときのJR東日本側の記録を見ても、ホームの番号の番号を含めてJR東海に何かを協力してもらったという記載は見られなかった。これも別に反目しているのでなく、隣接した場所で営業を行っている者同士が迷惑をかけないように気を遣ったと解釈できる。

 そもそも現実にホームの番号を変えるとなると大変な手間を要してしまう。一般には目に見える表示類を直せばそれで済むように見えるが、そうではない。東海道・山陽新幹線の管制塔に相当する総合指令所では、列車の進む線路を自動的に設定するといった役割を担うコムトラック(COMTRAC/COMputer Aided TRAffic Control system 新幹線運転管理システム)という巨大なコンピューターシステムが稼働しており、このシステムにホームの番号が正しく入力されていなければ列車を駅に到着させることも出発させることもできなくなってしまう。仮にホームの番号を変えるならば、コムトラックを改修しなければならない。その費用は億単位と予想される。

 素人目に考えてもホームの番号を1つずつずらすのは危険が伴う。もしもコムトラックが不調となって手作業で東京駅に列車を出入りさせたい場合、新旧の15~19番線を混同して誤った線路に列車を進入させ、あわや衝突という事態にもなりかねない。となると20~25番線などと従来と全く関係のない番号とする必要がある。

 一方のJR東日本も同様だ。新旧の12・13番線が存在するようでは不安が多い。11~19番線を飛ばして従来の番線と重複しない20番線から付け直したのも納得がいく。

 JR東日本の場合、東京駅に新幹線用のホームを増設するのと、国鉄から引き継いだコムトラックが老朽化してコンピューターシステムを更新する時期とが重なった。新たに導入されたのはコスモス(COSMOS/COmputerized Safety,Maintenance and Operation Systems of Shinkansen)と呼ばれるニュー新幹線総合システムで、稼働は1995(平成7)年11月のことだ。当然ながら、約2年後に予定される東京駅のホーム増設に対応済みであった。

梅原淳
1965年6月6日東京都生まれ。大学卒業後、三井銀行(現在の三井住友銀行)に入社。その後、雑誌編集の道に転じ、交友社月刊「鉄道ファン」編集部などを経て2000(平成12)年からフリーランスの鉄道 ジャーナリストとして活動を開始する。現在は書籍の執筆や雑誌への寄稿を中心に、講義・講演やマスメディアでのコメント活動、鉄道に関して行政や自治体が実施する調査への協力なども精力的に行う。合同会社ウメハラトレイン代表社員。千葉県富津市在住。富津市大貫地区社会福祉協議会理事、富津市公民館運営審議会副委員長、富津市国際交流協会理事。

デイリー新潮編集部

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