前田大然の母が明かす「サッカー部除籍事件」、母が結婚指輪を売って育てた浅野拓磨 「森保ジャパン」メンバーの濃すぎるファミリーヒストリー
「絶対にサッカー部に戻る」と自主トレ
いわゆる除籍処分。厳しい措置には余程のことがあったのだろう。本来なら転校も考えられるところだが、しかし、前田はもう1度同じチームでサッカーをやりたいと、高校に残る決断をしたという。
「学校の近くでワンルームを借り、私が週に1度は山梨に行って一緒に過ごすようにしました。本人は近くの山を走ったり、アパートの壁で壁当てをして、絶対にサッカー部に戻るんだ、と。周りもみんな親身になってくれ、あの頃私は夜行で帰る度に、バスの中で涙を流していたものです」
1年後、前田の除籍は解ける。この年代のブランクは大きいが、苦難が彼を強くしたのかその後の試合で大爆発。卒業後は松本山雅などのチームを経てセルティックに移籍。そこでの活躍が認められ、今回の選出となったのだ。
珍しく電話が
「発表の後、本人から電話がかかってきたんです」
と幸枝さんが続ける。
「“選ばれたわ”って照れ気味に言って。“良かったね。おめでとう”と。あの子からの連絡はいつもLINEで、電話は珍しい。今回は直接自分の声で伝えたかったんだなと思いました。久しぶりに声が聞けてうれしかった……」
鎌田、前田両選手を取材したことのある、サッカーライターの元川悦子氏によれば、
「鎌田選手はこの1年で本当に伸びた選手。あまり愛想が良い方ではないかもしれませんが、逆に自分をしっかりと持っているタイプです。前田選手は普段からニコニコしていて礼儀正しく、除籍の過去があったとは思えない選手。チームのために、献身的なプレーができるのが最大の特長です」
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