「トランプ氏の出馬演説は成功だった」…ケント・ギルバート氏が読む“2年後の共和党予備選”

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トランプ氏は57%の支持率

 日本のメディアは全く伝えていないが、意外にも非常にお行儀のよい演説だったというのだ。

「トランプ氏は『私しかアメリカを救える人間はいない』というビジョンや意欲を示すことができました。演説は熱烈なトランプ支持者だけでなく、アメリカのより広範な有権者に『確かに彼が言っていることは正しい』と思わせることに成功したと言えます」(同・ギルバート氏)

 2024年の大統領選の共和党予備選では、トランプ氏が圧勝──こんな報道をご覧になった方も多いかもしれない。

 アメリカの調査会社モーニング・コンサルトと政治専門誌ポリティコが8月24日に発表した世論調査結果によると、「今日が2024年大統領選の共和党予備選の投票日だとして、誰に投票するか」との質問に、回答者の57%がトランプ氏と答え首位に立ったという(註2)

 後で詳しく触れるが、対抗馬とも目されているフロリダ州知事のロン・デサンティス氏(44)ですら18%しか獲得できなかった。

 もともと人気の高いトランプ氏が出馬表明で全米の有権者を唸らせる演説を行ったとなると、彼の圧勝は間違いないように思われる。

非を認める必要

 ところがギルバート氏は、「中間選挙の結果を考えると、むしろトランプ氏は、共和党予備選で敗れる可能性のほうが高いと思います」と言う。

「どんなに演説が素晴らしかったとしても、トランプ氏の人間性を無視するわけにはいきません。2020年の大統領選で敗れると、トランプ氏は刑事や民事事件で複数の法的トラブルを抱えるようになりました。中でも21年1月に起きた『アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件』は議会の調査が続いており、トランプ氏がアメリカの民主主義を破壊したとも言われています」

 今回の演説でトランプ氏は、「20年の大統領選はインチキだった」という主張は控えた。だが、「『盗まれた大統領選』という私の主張は間違っていた」と非を認めることもなかった。

「トランプ氏が予備選で共和党主流派の政治家や党員からの支持を獲得するためには、『20年の大統領選における発言や行動は間違っていた』と認める必要があります。謝罪は無理でも、反省は示さなければなりません。しかし、彼の性格を考えれば、非を認めることはまずないと思います」(同・ギルバート氏)

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