大谷翔平「WBC」さえ“踏み台”? 「MVP」も眼中にない理由

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WBCではリリーフ登板も

 大谷は今季初めて規定投球回をクリアした。規定打席との同時到達は史上初の快挙だった。

「それでも、大谷は目指すべきものではないと感じたようだ。終盤には体調不良を押して投げたこともあり、体の負担を考えると是が非でもというわけではないのだろう。となると、規定投球回が前提となるサイ・ヤング賞や最優秀防御率のタイトルは厳しくなる。これからは規定投球回に届かなくても取れる最多奪三振や最多勝に目標をシフトするのではないか」(前出の記者)

 さらに、米大手マネジメント会社の代理人は今後の大谷の二刀流をこう展望する。

「渡米時は160キロ超の直球を持っているため、投手としての評価が高かった。当時は二刀流に懐疑的な見方が多く、いずれは投手に専念することになると考えられていた。しかし、昨季46本塁打を放ったことで評価が一変した。今季は投手で評価を高めたが、最終的には打者に軸足を置いていくのではないか」
 
 大谷はMVP発表前日、来春開催のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)への出場を表明した。インスタグラムに<5年ぶりに日本のファンの皆様の前で野球ができるのを楽しみにしています!!>と記したように、準決勝以降の米国ラウンドからではなく、開幕の日本ラウンドからフル参戦する見込みだ。本来は公式戦前の調整時期であり、先発で多くの球数を投げることには消極的ながら、リリーフ登板も辞さない構えだ。

「日本ラウンドの比較的、余裕がある試合には打者として出場せず、リリーフで試運転する。そして大一番では、簡単ではないが、指名打者で打席に立ちながらブルペンで準備するイメージがあるのではないか。先発投手だけではない二刀流の形態を考えているようで、真剣勝負の中でこそ分かることがあるというのが大谷の身上だから、今回のWBCで試す用意があるはずだ。メドが立てば、いずれWBCと同じ短期決戦のポストシーズンに進んだ時のオプションにできる」(前出の元監督)

「大谷ルール」や「二刀流選手枠」と、MLBでは次々と競技の枠組を変える“ゲームチェンジャー”になってきた。来季は二刀流でどんな常識を覆すのか。従来の価値基準で記者らが選出するMVPやサイ・ヤング賞など既存の賞は、もはや大谷の眼中にないのかもしれない。

木嶋昇(きじま・のぼる)
野球ジャーナリスト

デイリー新潮編集部

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