中日、「阿部寿樹」「京田陽太」を次々トレード…立浪監督の補強戦略は本当に成功するのか?

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球団の方針が見えてこない

 立浪和義監督1年目のシーズンは、6年ぶりの最下位に終わった中日。そんな再建を目指すチームに大きなニュースが飛び込んできた。11月15日、楽天との間で阿部寿樹と、通算154勝を誇る涌井秀章の交換トレードが成立したと発表されたのだ。さらに3日後の18日には京田陽太とDeNAのサウスポー、砂田毅樹の交換トレードも成立。昨年まで二遊間のレギュラーだった選手を一気に放出したのだ。【西尾典文/野球ライター】

 京田は以前からトレードの噂があったが、特に驚いたのは阿部の放出だ。プロ入り7年目の今シーズンは、主にセカンドとサードを任され、いずれもチーム2位となる9本塁打、57打点をマークしている。ちなみに、1位は14本塁打、63打点のビシエドであり、日本人選手としては唯一と言える長打が期待できる存在だった。このトレードの前には、阿部に次ぐチーム3位の8本塁打を放ったA.マルティネスも残留交渉がまとまらずに退団。今年も“歴史的貧打”と言われた打線からこの2人が抜けたことで、ファンや関係者の間では不安の声が上がっている。

「ドラフトで内野手を多く獲得したことで、既存の内野手をトレードするという噂はありましたが、阿部を出したことには驚かされました。加藤宏幸・球団代表が『苦渋の決断だった』と話していることからも、球団内部にも反対する声は当然あったと思います。ただ、気になるのは獲得した選手が阿部選手以上にベテランの涌井選手ということですね(※阿部は32歳、涌井は36歳)。チームの若返りを目指すと言っていながら、その発言とは噛み合っていません。シーズン中に、オリックスから後藤駿太選手をトレードで獲得した時も長打力不足という課題からずれているという声が多かった。今回のトレードも球団の方針がよく見えてこないですね」(地元テレビ局のスポーツ紙記者)

ドラフト会議でも“迷走”

 7月に石岡諒太とのトレードで加入した後藤は移籍後35試合に出場しているが、放ったヒットはわずか8本、打率は.160と、打撃では存在感を示すことができなかった。今年のドラフトでは、来年から戦力になりそうな投手を指名しなかったという事情もあり、他球場に比べて広いバンテリンドームナゴヤであれば、まだまだ涌井は活躍できるという狙いも理解はできるとはいえ、やはり“若返り”という目的からはずれている。

 そして不安の声は、トレードや外国人選手だけではない。10月20日に行われたドラフト会議でもチーム方針の“迷走”が垣間見える。1位こそ投手の仲地礼亜(沖縄大)を指名したが、育成まで含めて4人もの二遊間の選手を指名する偏った結果となった。

 しかも7位の福永裕基(日本新薬)以外は、全員がリードオフマンタイプであり、これも長打力不足のチーム事情からは大きく外れている印象を受ける。昨年は強打者タイプの大学生外野手3人を指名しているとはいえ、疑問を感じたファンも多かったはずだ。

 この背景には球団内部の“ある人事”が影響しているという。

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