韓国を日米韓の軍事協力体制に引き込んだバイデン、直後に中国にすり寄った尹錫悦

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次の核実験で対北軍事行動か

 さらに――ここからが注目すべき点なのですが、「もし核実験をしたら米国は[米国と同盟国の]利益をより確かに守るため、相応の措置をとる。それは中国に直接向けるものではないが」と習主席に伝えた、と述べたのです。

 何人かの専門家が「相応の措置」とは軍事行動を意味すると受け取りました。ポイントは「中国に直接向けるものではない」というくだりです。

 対北経済制裁の強化を意味するのだったら、そういう言い方にはならない。北朝鮮をかばう中国に対して経済制裁を発動する可能性もありますが、その際にも「直接向けるものではない」とは言わないでしょう。

 軍事行動を考えているからこそ「北朝鮮を攻撃するが、中国は攻撃しない。これを誤解するな。北を軍事的に助けて米中戦争に拡大するな」というメッセージを中国に送るため、バイデン大統領はこの表現を使ったと考えられるのです。

 そもそも対北経済制裁は使い尽くしていて、北の核武装を防ぐには核施設を攻撃して破壊するか、体制を崩壊させるしかない、と見る専門家が増えています。緊張の高まった2017年にも、米国は北朝鮮の核施設への先制攻撃を検討しました。同時に金正恩(キム・ジョンウン)総書記も空爆で暗殺する計画だったと見られます。

「中国を敵に回す」と左派が悲鳴

――韓国は完全に「米国側に戻る」のですか。

鈴置:左派は親米路線への回帰を「中国を敵に回す」と批判しました。ハンギョレの社説「初の包括的共同声明、北朝鮮と中国の牽制をねらった韓米日3国」(11月14日、日本語版)が典型です。

・この日発表された「インド太平洋における韓米日パートナーシップに関するプノンペン声明」は、韓国と日本に対する米国の拡大抑止の強化をはじめ、北朝鮮のミサイルの警戒データのリアルタイム共有、経済安全保障の対話の枠組みの新設を明示した。
・また、台湾海峡の平和と安定の維持、ウクライナ支持、先端技術のサプライチェーンなど、膨大な領域で3カ国の協力を強化することにした。韓米日がこのような包括的な性格の共同声明を採択したのは初めてだが、その内容をみると、北朝鮮の挑発だけでなく中国への牽制を念頭に置いていることは明白だ。
・重要なのは、韓国の自主的な原則と戦略的な考慮だ。中国との関係を安定的に管理していく方法などを慎重に用意しなければならない。

 ハンギョレは翌11月15日にも「バランス外交蹴って米国の側に立つ韓国…『米MD編入の可視化』論議も」(日本語版)で、米国のミサイル防衛(MD)に組み込まれたことを問題視しました。

・3国首脳が北朝鮮ミサイル警報情報をリアルタイムで共有することに合意したことについては、韓国は米国の推進するミサイル防衛(MD)体制に事実上組み込まれたと指摘される。
・韓米は2016年から、京畿道の烏山(オサン)基地の韓国軍連動統制所(KICC)と在韓米軍連動統制所(JICC)をリンク16でつなぎ、北朝鮮の核・ミサイル情報をリアルタイムでやりとりしている。
・米国と日本もリンク16を通じてリアルタイムで軍事情報を共有する。JICCはリンク16で在日米軍ともつながっている。結局、「リンク16」を媒介として3国は、北朝鮮のミサイルの標的探知や座標確認を一体的かつ有機的に行うことになったのだ。

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