習近平も乗らなかったインドネシアの高速鉄道、“中国製”の安全性に懸念? 日本に再び秋波を送るが
中国製の鉄道、安全性への懸念
中国側は試乗キャンセルの理由を明確にはしていない。習近平国家主席の外交日程の都合といわれている。しかし、実際の理由はほかにありそうだとの見方もある。
それは高速鉄道の「安全性への危惧」だ。すでに試験走行を9月に行っているとはいえ、中国の最高指導者でもある習近平国家主席を安全性が担保されていない建設途上の高速鉄道に乗せるのは「リスクが伴う」と判断された可能性が高いのだ。
実際、中国の鉄道技術のレベルは極めて低いと言わざるをえない。振り返れば2011年7月、中国浙江省温州市で落雷で動力を失い高架に停車中の高速鉄道に別の列車が追突、脱線して4両が高架下に落下・宙吊り状態となり、40人が死亡した事故があった。
しかも事故の数日後には、落下した車両が全て地中に埋められ、事故原因の究明は行われなかったとされている。内外からの批判とともに鉄道関係者からは「ありえないこと」との指摘が出た。
また2022年の10月、中国貴州省榕江で高速鉄道が崩れた土砂に乗り上げ、近くの駅のホームに追突して運転士1人が死亡、乗客8人が負傷する事故も起きた。
こうした自国の鉄道技術の低さを知る中国政府が、自国の労働者の手によって建設された車両や運行システムで走るインドネシアの高速鉄道の安全性に疑問を呈し、習近平国家主席の試乗をキャンセルしたとすれば笑止千万だ。
インドネシア政府や高速鉄道関係者にしてみれば、無情な試乗キャンセルに「ジャカルタに訪問すらしないとは……」とショックを隠し切れないことだろう。
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