習近平も乗らなかったインドネシアの高速鉄道、“中国製”の安全性に懸念? 日本に再び秋波を送るが
インドネシアのバリ島で11月15日から開催されていたG20(主要20カ国・地域)首脳会議が16日に幕を閉じた。議長国のインドネシア政府、そして議長として会議を仕切ったジョコ・ウィドド大統領にとっては、米バイデン大統領や中国の習近平国家主席、日本の岸田文雄首相らを迎え入れる、一世一代の晴れ舞台となるはずだったのだが……。【大塚智彦/インドネシア在住ライター】
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ジョコ・ウィドド大統領にとってG20と共に重視していたのが、首都ジャカルタから西ジャワ州バンドンを結ぶ全長142キロの高速鉄道の試運転だった。習近平国家主席と同乗しての「試乗」である。ところがこれは「オンライン視察」という形に終わってしまった。
この高速鉄道をめぐっては、2015年、技術的に優勢だった日本のプランを袖に振り、インドネシアが中国と手を組むことになったことは知られた話だろう。中国が提示したとにかく安価な建設費、しかもインドネシア政府の国費投入を求めないという条件によって進められているインドネシアの国家的プロジェクトである。
ところが、多数の中国人労働者が投じられた鉄道建設は、インドネシア側の用地買収の遅れやトンネル工事の遅延、洪水や土砂崩れ、周辺建物のひび割れといった問題に当初から直面した。計画では2019年の完工を目指していたが、工事は遅れに遅れ、現在は2023年6月の営業運転開始を目標にしている。
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