リブゴルフ 来年の目玉は「チ―ムのフランチャイズ化」 既存ツアーと共存する方法はあるか

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 サウジアラビアの政府系ファンドの支援を受け今年6月に創設されたリブゴルフは、年間8試合をすべて終了。来年は当初予定されていた年間10試合が14試合に増やされることが、すでにリブゴルフを率いるグレッグ・ノーマンCEOによって誇らしげに発表されている。さらに、チームのフランチャイズ化という大きな変化を迎える。【舩越園子/ゴルフジャーナリスト】

「誰もが存在を認めざるを得ない」

 リブゴルフ創設前から米国のPGAツアーや欧州のDPワールドツアーのスター選手たちに声を掛け、自身も早々にリブゴルフへ移籍したフィル・ミケルソン は、こう胸を張る。

「創設当初は『リブゴルフなんてすぐに沈没する』と言われていたが、僕らはさまざまな問題を乗り越え、ここまで来た。もはや誰もがリブゴルフの存在を認めざるを得ないはずだ」

 ミケルソンの言葉通り、リブゴルフは創設前から「選手が集まるはずがない」「開催コースが確保できる保証もない」などと言われていたが、ダスティン・ジョンソン 、ブルックス・ケプカ 、ブライソン・デシャンボー らが続々と移籍し、世界ランキング上位選手が所属するツアーとなった。

 開催コースも今年は英国、米国、タイ、サウジアラビアで確保することができ、試合数が増える2023年は新たにスペイン、シンガポール、オーストラリアも開催地に加わる見込みだ。

フランチャイズ化で何が起こるか

 そして、2023年のリブゴルフにおいて最も大きく変化すると見られているのが、チームのフランチャイズ化だ。

 リブゴルフではストロークプレーによる個人戦と、4人1組、全12チームによるチーム戦が同時進行で行なわれている。創設初シーズンの今年、そのチームはシンプルに「ともに戦う4人組」だった。しかし、来年からは各チームがそれぞれ独立したフランチャイズとなり、「ともに戦い、ともにビジネスを行なう4人組」ということになる。

 そのフランチャイズは具体的にどんなことを行なうのかといえば、メンバー4人が協力し合ってチームを宣伝したり、支援してくれるスポンサーを募ったり、チームごとにロゴマークを作って専用グッズを製造・販売したりといったビジネス活動が期待されている。収益が得られれば、メンバー4人で分配することになる。とはいえ、各選手にはそれぞれスポンサー契約が継続されているケースも多く、たとえば、キャップにチームロゴを付けてプレーしようとした場合に、ある選手だけは「既存のキャップ契約に違反することになるから、僕はチームロゴのキャップを被ることはできない」といった事態になることも想定される。

 だが、米シカゴ・ビジネス・ジャーナル誌によれば、リブゴルフ社長兼COOのアトゥル・コスラ氏は「来年、すぐさま統一できずとも、各選手が独自の契約を満了するまで待って、12カ月、いや18カ月ぐらい時間をかけて、徐々にチーム内の統一が図れればそれでいい」と考えているという。

 いずれにしても、単にゴルフのプレーをするだけではなく、ともにビジネスに取り組むとなると、各チームのメンバー構成にもそれなりの配慮、いや熟慮が求められる。

 初シーズンの今年は、たとえばスペイン出身の選手同士4人でチームが構成されたり、日頃から親しくしている4人で構成されたりという「仲良しチーム」が多かった。だが、来シーズンからは「ビジネス・パートナーとして望ましい選手」がメンバーを考える際の一番の基準になりそうである。

 また、今年から来年にかけて、おそらく6~7人のPGAツアー選手が新たにリブゴルフへ移籍するという噂が広がっており、そうなった場合の新規参入選手を含めると、「来年は全体の25%ぐらいは、チーム構成に変化が出るだろう」と同誌は見ている。

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