「出産準備金」新設は効果なし! 結婚、子育てが損になる国・日本…欧米との違いを専門家が解説

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結婚は「生活水準を上げるイベント」だった

 そんな時代の若者にとって、結婚は生活水準を上げるイベントだった。当時の若年男性は中卒でも金の卵と呼ばれ、誰でも望めば正社員となれた。そして、終身雇用、年功序列が適用されたので、収入は将来にわたって安定していた。女性は結婚すれば親元を離れることができた。また、誰と結婚しても、夫の収入は上がり続けるのが見込まれたので、専業主婦になってもそれなりの生活の中で子どもを育てることができた。

 その結果、ほとんどの人が結婚して子どもを2人産み育てる社会が実現したのである。

若者をとりまく状況

 時代が平成に入ると、若者をとりまく家族の状況、そして、経済状況が大きく変わる。

 まず、平成以降の若者(現在、概ね35歳未満)は、親世代と違って、個室があるのが当たり前。家事は一切母親がやってくれる。就職しても親と同居していれば、収入の大部分を自分の好きなことに使える。親も物わかりがよくなり、娘の旅行や外泊を禁止する親はほとんどいなくなった。親と同居していれば、たとえ自分の収入が少なくても、快適な生活が送れる条件が整えられている。

 というわけで、私のいう「パラサイト・シングル」(親に寄生して生活しているようにみえる独身者)が登場するわけである。

 もし、日本が西ヨーロッパやアメリカのように、成人すれば、親から経済的に独立するのが当然という状況であれば、少子化は起きなかったろう。1人暮らしよりは、2人の方が経済的に節約できる。どうせ2人で住むなら好きな人と住んだ方がよい。欧米では、このような考えから、同棲が増え、同棲しているうちに子どもも生まれ、ある程度少子化に歯止めがかかっている。西ヨーロッパでは、子育て支援が充実しているから、同棲や結婚して子どもを育てていても、経済的に困ることはない。

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